ロッテ益田直也が復活を遂げた背景 大記録達成の裏に…自己ワーストの5.17が示す“劇的変化”

長年の活躍を支え続けた抜群の奪三振率と制球力
ロッテの益田直也投手は4日、史上5人目となるNPB通算250セーブを達成した。名球界入りを果たした後も着実に登板を重ね、26日には史上9人目の通算800試合登板も成し遂げた。昨季は防御率4.35と不振に陥ったものの、不屈の精神で復活を遂げた。球史に名を刻んだ鉄腕が歩んできたキャリアを振り返るとともに、今季安定感を取り戻した理由に迫る。(数字は26日試合終了時点)
プロ1年目の2012年、新人最多登板記録となる72試合に登板し、41ホールド、防御率1.67で新人王に輝いた。2013年にはクローザーに指名され、33セーブで最多セーブのタイトルを獲得した。その後も救援陣の中心として登板を重ね、1年目から5年連続50試合以上に登板。一方でキャリア初期はセットアッパーとしての起用も多く、最初の7年間で挙げたセーブ数は61だった。
2019年に守護神へ復帰すると27セーブをマークし、そこから6年間で182セーブを積み上げた。2021年には自身2度目の最多セーブに輝くなど、30代に入ってからセーブ数を大きく伸ばしている。クローザーにとって重要指標である奪三振率は、投球回を上回る奪三振数を記録したシーズンが5度ある。キャリア平均の奪三振数も8.10で、決め球のシンカーを軸に打者を仕留める投球を展開してきた。
初の最多セーブに輝いた2013年は奪三振率9.58、2014年は自己最高の10.06を記録するなど、キャリア初期は高い数字を残した。2015年からの3年間は7点台以下に低迷したものの、2018年から2023年まで6年連続で8点台以上を記録。抑えに再転向した2019年以降は、再び三振を量産した。
もうひとつの強みは、キャリアを通じて発揮してきた制球力。プロ生活で与四球率が4点台以上のシーズンは一度もなく、通算与四球率も2.89と優秀だ。2025年までの14年間のうち、7シーズンで与四球率2点台を記録している事実が、安定した制球力を証明している。
奪三振を与四球で割って算出する制球力の指標「K/BB」は、一般的に3.50以上が優秀とされる。益田は2013年に4.13、2014年に3.56、2021年に4.53、2023年に3.86と、4度にわたって基準をクリアした。優れた奪三振力と制球力を兼ね備えている証だろう。
プロ15年目の劇的進化…打たせて取る投球で取り戻した安定感
30セーブ以上を記録した4シーズンは、いずれも投球回を上回る三振を奪い、与四球率を2点台に抑えている。2025年は8年ぶりに防御率が4点台以上(4.35)となったが、同年は与四球率3.48と増加しており、本来のパフォーマンスを発揮できていなかった。
今季の奪三振率は5.17と、自己ワーストの水準にとどまる。一方で与四球率は2.87とキャリア平均を上回る数値を残しており、過去2年間に比べて制球力が大幅に改善した。打たせて取る投球スタイルへの本格的な移行を裏付けている。
打たせて取る投球において、本塁打を除くインプレー打球が安打になった割合を示す「被BABIP」は重要な指標だ。一般的に被BABIPは投手がコントロールしにくく、運に左右されやすいと言われており、基準値は.300とされている。益田の通算被BABIPは.275と基準値を下回る。
ただ、2013年、2014年、2017年は.345以上と極端に高く、2014年と2017年はともに防御率が5点台近く、WHIPも1.40と苦しんだ。今季の被BABIPは.223と優秀で、昨季の.290から大きく改善した。球速の回復に加えて、打たせて取る投球が機能する状況を自ら作り出したことが復活へとつながっている。
これまで11度のシーズン50試合登板をクリアした耐久性と、30代を迎えてなお進化を続ける向上心。プロ15年目の今季、打たせて取る投球へのシフトで安定感を取り戻した。激しい競争が続くプロの世界で、長年にわたり第一線で結果を残し続ける理由がここにある。通算250セーブの偉業達成後もブルペン陣を支え、円熟味を増した鉄腕が今後もチームのために腕を振り、さらなる金字塔を打ち立てる姿に期待がかかる。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)