DeNAの“ジョーカー”三森大貴、“神走塁”連発の背景 ベンチ裏に響く「走りま~す!」…首脳陣が絶賛する準備

チームトップの15盗塁をマークするDeNA・三森大貴【写真:井上学】チームトップの15盗塁をマークするDeNA・三森大貴【写真:井上学】

1点ビハインドで三盗成功「100%以上の自信を持っていきました」

 セ・リーグ3位のDeNAで、独特の存在感を放っているのが三森大貴内野手だ。ソフトバンクから移籍して2年目の27歳は、チーム118試合のうち61試合出場で、スタメンは31試合。出場機会に恵まれているとはいえないが、代走などで“神走塁”を連発し、チームトップの15盗塁をマークしている。

 逆転サヨナラ勝ちした8月30日の中日戦(横浜)。1点を追う9回に同点犠飛を打ち上げた宮崎敏郎内野手、サヨナラ打を放った蝦名達夫外野手がお立ち台に上がった。しかし、誰よりも鮮烈な印象を残したのは三森だった。

 1点ビハインドの8回、先頭で四球を選んだ筒香嘉智内野手の代走で登場。中日3番手の左腕・吉田聖弥投手と石伊雄太捕手のバッテリーが警戒する中、続く宮崎の初球にスタートを切った。147キロのストレートがワンバウンドとなり、石伊は二塁へ送球できなかった。

 驚くべきは、この後だった。カウント1-2と追い込まれた宮崎への4球目に悠々三盗成功。吉田が足を上げる前にスタートしており、事前に“癖を見つけて頭に入れていたのは明らかだった。三森自身は「(三盗を仕掛けなくても)宮崎さんが二ゴロを打てば1死三塁になる場面ですから、100%以上の自信を持っていきました」と事もなげに言い切った。

 三森の2盗塁で好機をつくったものの後続を断たれ、この回に追いつけなかった。しかし、そのまま中堅の守備に就き、9回1死一、二塁の好機で打席に立つと、中日の守護神・松山晋也投手から中前打を放った。カウント1-2から、見送ればワンバウンドしそうなフォークを弾き返す天才的な打撃。1死満塁とチャンスを広げ、宮崎の同点犠飛、蝦名のサヨナラ打に繋げた。

ソフトバンクから移籍して2年目、独特な存在感でチームに貢献【写真:井上学】ソフトバンクから移籍して2年目、独特な存在感でチームに貢献【写真:井上学】

藤田一也コーチ「根拠を持ってスタートを切れている」

「盗塁では“行ける”と思った時の思い切りと、ベース際でのスピードを大切にしています」と三森は語る。一方、「三森は準備が凄い。田上(健一1軍走塁アナリスト)くんから情報をもらいながら、事前に相手を研究している。だからこそ根拠を持ってスタートを切れているのだと思います」と分析するのは、一塁コーチも務める藤田一也1軍内野手守備走塁戦術・育成コーチだ。

 試合中に、ベンチ裏に敷かれた約20メートルの人工芝の上でダッシュを繰り返しているという。藤田コーチは「三森自身『走りま~す!』と声をかけたりしていますが、あれだけのスピードですから、他の選手は注意しないと危ないですよね」と笑う。

 6月4日の楽天戦(横浜)では、同点の9回に一塁走者の代走で登場。二盗を決めた上、相手投手が暴投し、ボールが転々とする間に三塁を回って本塁へ突入した。一度は「アウト」の判定が下ったが、リプレー検証の結果、相手のタッチをかわしながら右手でホームベースに触れており、判定が覆ってサヨナラ勝ちとなった。この走塁も三森の“神の手”と呼ばれ話題になった。

 守っても内外野を高いレベルでこなし、今季は中堅、二塁、一塁の3ポジションに就いている。相川亮二監督が「代走でも先発でもいけますし、内外野守れますから、采配する上でありがたい。ウチに欠かせないジョーカー的な存在です」と重宝するのも当然だろう。

 塁上にいれば相手投手は盗塁を警戒してストレート中心の配球になりがちで、打者にとって狙い球を絞りやすくなるメリットも生まれる。藤田コーチは「三森が代走に出て、牧(秀悟内野手)がストレートをホームランしたことがありましたね」とうなずく。

金髪は三森のトレードマーク【写真:加治屋友輝】金髪は三森のトレードマーク【写真:加治屋友輝】

今季三盗成功率は100%「レギュラーを獲りにいってほしい」

 今季は二盗を15回試みて、12回成功(成功率80%)。3回試みた三盗の成功率は100%だ。金髪をなびかせて走る姿は、常に鮮烈な印象を残す。

 藤田コーチは三森を手放しで称賛するだけでは終わらない。「あいつは決して足だけの選手ではありません。代走や守備のスペシャリストというだけではもったいないと思っています」と力を込める。

 さらに「見た目は派手ですが、練習はしっかりやっています。本人にも言っているのですが、ああいう選手がスタメンにいると、打線に動きが出て、相手にプレッシャーをかけることができる。ウチは足を使える選手が少ないだけに、打撃がよくなればレギュラーを獲れると思います」と強調。「まだまだ若いですし、レギュラーを獲りにいってほしいです」と期待を寄せる。

 昨季の得点圏打率.375が示すように勝負強さを秘めているが、今季打率は.246(126打数31安打)。確実性アップが定位置獲得の鍵になる。いずれにせよ、クライマックスシリーズ出場権獲得への“キーマン”になりそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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