異例の現役選手がオーナー 直面した少子化問題…赤星憲広氏が20年続ける“草の根活動”

現役時代は盗塁数に応じて車椅子を寄贈…2005年にクラブ設立
あの頃の“決断”が、今も生きている。阪神で活躍した赤星憲広氏がオーナーを務める「レッドスターベースボールクラブ」は、2005年の設立から20年以上の歴史を誇る。
主に中学生を対象とした硬式少年野球チームで「その時(2005年)少年野球チームがだんだん減っているタイミングだったんです。野球をプレーしたい子どもたちがプレーできる環境がないというのは……と思い、チームを作りました」と当時を回想する。
「立ち上げる時は、僕もまだ現役だったんです。その時から今にも至るんですけど、少子化になってきて。野球人として成長させてもらって、運良くプロ野球選手にもなった。自分の中でも野球を通して人生に生きていることがたくさんあったので……。正直(影響力のある)現役選手だからこそ(チーム作りなどを)やった方がいいんじゃないかなという考えがありました」
赤星氏は新人時代の2001年、足に病気を抱えたファンと出会い、2003年から現役を引退する2009年まで「レギュラーシーズンで記録した盗塁の数と同じ台数の車椅子を寄贈する」という社会貢献も行ってきた。計7年間で301台を寄付。数々の笑顔が今でも忘れられない。
そんな経験もある赤星氏は中学生チームの設立に「シーズンオフの時に一緒になって動けたりしてね。(オフの)自主トレを含めて子どもたちと汗を流せる楽しさもありました」と懐かしむ。ただ、当時は現役選手であったため、時間の制約などもあり“指導”はできなかった。
「チームを作った時からのことですけど、僕がメインで教えるものではないんです。僕はあくまでも『オーナー』という立場。現場の指導者の方たちに成長を促すことも心掛けてきたことの1つです」
OBたちにも「(中学)チームを通して、指導能力などを勉強してほしい」
近年では阪神OBの俊介ファーム野手コーチが、現役を引退した2021年オフから「野手総合兼外野守備走塁コーチ」として指導にあたり、3年後には阪神のコーチとして再びタテジマのユニホームを着た。現在は原口文仁氏も育成アドバイザーとして指導を行う。赤星氏も「うちのチームを通して、指導能力などを勉強してほしい」と真剣な表情で腕を組む。
「20年以上も経った今だとね。(チームの)OB選手たちが練習に来てくれたりとか、教えてくれたりとかしています。彼らにとっても将来的に野球に何か携わる上で大きなこと。自分が育ったところに戻ってきて、指導の勉強をして。例えば、本格的に高校野球の指導者になるとなった時などに、必ず生きたりすると思います」
今も生きる“伝統”を胸に刻み、また新しい選手がグラウンドで躍動する。「何事も大切なのは継続すること。継続することは正直、簡単なことじゃないです。個人のことなら自分の意思で続けられますけれど、周りのサポートがなければ無理なこともある。この活動も、サポートがあってこそなので」。現役時代からサポートを続けてくれる野球用具メーカー「ZETT」や、グラウンド施設利用やボールなどの用具提供で連携をとる阪神やオリックス球団にも感謝が尽きない。
「いろんな周りの協力がなければ、20年も続いていないと思います。すごくありがたいですし、これからも子どもたちのためにできることを考えていきたいですよね」。新たな文化を創り、時代を切り拓き続ける。
(Full-Count編集部)