山野太一が元山飛優へ「ごめん」 死球→異例の“駆け寄り”後のやり取り…広がった笑顔&SNSで伝えた思い

死球直後、阪神・元山飛優に駆け寄ったヤクルト・山野太一【写真:産経新聞社】死球直後、阪神・元山飛優に駆け寄ったヤクルト・山野太一【写真:産経新聞社】

東北福祉大の同級生は2020年ドラフトでヤクルトへ、元山は西武を経て阪神入り

 プロ6年目でついに実現した初対決だった。「いやぁ、うれしかったですね」。ヤクルトの山野太一投手が18.44メートル先に見たのは、東北福祉大時代の同級生であり、2020年ドラフトでともにヤクルトに入団した阪神の元山飛優内野手だった。

 9月2日に神宮球場で行われた阪神戦。待ち望んだ瞬間は、3回1死でやってきた。カウント1-1からの3球目、145キロの直球は右脇腹付近に直撃してまさかの死球となった。

「サインが出た瞬間に『ちょっとこれいくかもしれんな』と思って、そうしたら本当にいっちゃって……」

 死球を当てた投手は通常はマウンド付近で帽子を取って謝ることが多いが、山野はマウンドを降りて左打席付近で倒れ込む元山のもとへ。体に手を当てて何やらささやくと、元山も反応して立ち上がり、2人に笑みが広がった。

2日の阪神戦に先発し力投したヤクルト・山野太一【写真:産経新聞社】2日の阪神戦に先発し力投したヤクルト・山野太一【写真:産経新聞社】

対戦後はお互いにインスタ更新も…LINEのやり取りも「めっちゃしています」

 元山が大事に至らず、プレーを続行できたのが何よりだった。5回無死の第2打席はカウント3-2から、最後は外角スライダーを振らせて三振。「さすがにもう一回は当てられない。内角のサインがなかなか出ず、それでも外角にしっかり丁寧に投げようと思って、三振が取れてよかったと思います」と微笑んだ。

 死球の直後、そして試合を終えてから、旧友とどんなやり取りをしていたのだろうか。

「デッドボールを当ててしまって、すぐにまず行って謝ろうと思って飛優のところに行きました。『ごめん、大丈夫?』って言ったんですけど、そのときに僕、当ててしまったところをさすっていたんですよ。だから『触るな、痛い痛い』みたいに言われて。で、また『ごめん』って」

 試合後はお互いにインスタグラムを更新。山野は「プロになって1番楽しみにしてた対戦 お互い戦力外を経験してこうして一軍の舞台に戻り対戦できるのは本当に幸せなこと」「#トモダチ」と思いを記した。一方の元山は「大学?ヤクルトの同級生対決。野球人生で1番思い出に残る打席でした」と綴り、「#次は絶対打つ」とのハッシュタグを添えた。

「直接言うのは恥ずかしいので、エモいことはインスタで言いました」と山野。だが実はやり取りはこれだけではなかった。試合後のLINEも「めっちゃしています」と明かす。実際に打席から見た投手としての自身について尋ねるなどしたという。そして「『次は絶対にホームラン打つからな』っていうのも来ました」と話す表情はどこかうれしそうだった。

ヤクルトからドラフト指名された当時の山野太一【写真:産経新聞社】ヤクルトからドラフト指名された当時の山野太一【写真:産経新聞社】

山野の“無敗記録”は元山のおかげ?「本当に印象に残っています」

 東北福祉大ではともに1年時からメンバー入り。寮の部屋も近く、空いた時間は毎日のように山野の部屋でサッカーゲームをして遊んでいた。同期の中でも、とりわけ仲がいい間柄だった。大学時代の紅白戦で何度か対戦経験があるが「結構打たれているイメージなんですよ」と懐かしむ。

 山野は大学時代にリーグ戦22勝0敗など、一度も負けなかったという伝説を持っている。しかし実は4年時の最後の試合に中継ぎで登板した際、逆転を許して初めて負けが付きそうになったことがあった。「その次の回、先頭だったかな、飛優が本塁打を打ってくれて僕の負けを消してくれて、結果的に無敗っていう結果に繋がったんです。それは本当に印象に残っています」と声を弾ませた。

 ドラフト2位入団だった山野は2022年オフに戦力外となり、育成契約を経験した。2023年に支配下に復帰し、同年にプロ初勝利をマーク。昨季までの5年間で通算9勝だったが、今季はすでに10勝をマークするなど飛躍のシーズンを送っている。同4位だった元山は2023年オフにトレードで西武に移籍。昨季限りで戦力外となり、今季から阪神に加入した。7月5日に2度目の1軍昇格を果たすと、遊撃手として先発出場の機会を増やしている。

阪神・元山飛優【写真:加治屋友輝】阪神・元山飛優【写真:加治屋友輝】

「すごく幸せなこと。ずっと意識しているというか、やっぱり気になる存在」

 2人の野球人生は、再び交差した。山野が思いを馳せる。

「できればずっとヤクルトで一緒にプレーしたかったっていうのがあったんですけど、でも形は変わりましたけど、お互いの道でお互いの役割を果たして、活躍できているかはわからないですけど、1軍の舞台でプレーできているのはすごく幸せなことだなと思います。ずっと意識しているというか、やっぱり気になる存在。飛優が西武をクビになって阪神に行くときに連絡をくれたり、あっちも今でも自分のこと思ってくれているんだなと思いましたし、飛優が阪神でまた新しいスタートを切って頑張っているので、それはすごくうれしいことです」

 そして最後に笑った。「また対戦する機会があれば、僕は打たれないように頑張りたいなと思います。あとデッドボールを当てないようにしないといけないですね」。主戦級に成長した山野と、3球団目で挑戦を続ける元山。2人の大切な時間は、これからもっと増えていくだろう。

(町田利衣 / Rie Machida)

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