金城龍彦2軍オフェンスコーチ、大田泰示2軍打撃コーチの“通信簿”
巨人の三塚琉生(るい)外野手がファームで鍛錬の日々を送っている。高卒4年目の22歳は、最大の武器である長打力を生かし来季の1軍定着を狙う。同学年の大卒選手が入団してくる勝負の2027年へ向け、何を思うのか。成長を見守る金城龍彦2軍オフェンスコーチ、大田泰示2軍打撃コーチが長距離砲の“未来図”を語った。
着実に進化を遂げている。東京ドーム開催となった8月20日のファーム・リーグのハヤテ戦では高い放物線を右翼席上段へ運んだかと思えば、9月3日の同オリックス戦(ジャイアンツタウン)では低空弾丸ライナーを右翼の防球ネットに突き刺した。
「状態は少しずつは良くなってきているのかなとは思います。(課題は)ボール球を見極めるというところです」。7日時点で2軍で66試合に出場し、打率.255、6本塁打、32打点。長打率.412という成績を残している。
2022年育成ドラフト6位で桐生第一高から入団。3年目の2025年に3軍で打率.351、OPS.975を記録して5月に2軍へ昇格。そこでも19試合で打率.357、4本塁打、11打点をマークし、昇格からわずか1か月で支配下契約を勝ち取った。
同年に1軍デビューを果たしたが、オリックス・宮城大弥、日本ハム・達孝太、中日・高橋宏斗、広島・床田寛樹らそうそうたる投手と対戦し、12打数無安打8三振と、1軍の壁を体感した。「全てにおいてレベルが高かった。やっぱり、なかなか簡単にはいかないという部分と、本当に1球勝負だなと感じました。球のスピードの違いを一番感じました」。
それでも2軍ではチームトップの9本塁打を放つなど非凡な才能を発揮し、今季もファームで経験値を高めている。大田コーチは逸材の魅力をこう評価する。
明かす取り組みと1軍定着への課題
「試合でしっかり振れる、ということじゃないですか。試合で思いっきりスイングスピードを出せる、という選手はなかなかいないので。昨年はあんまり僕も見ていないのでわからないですけど、今年に限ってはもう、コンタクトできる能力もついていますし、そこがストロングポイントですよね。振れるっていうのは」
結果は残せなかったが、昨年の1軍での経験も成長の大きな要素になっているという。「一番いいピッチャーと対戦しているので。1軍のエース級のレベルを肌で感じて、自分の力のなさを痛感しているという話もしました。だからこそ、練習の中での再現性だったりとか、コンスタントに成績を出していくっていうのもそうだし、強固なものを作っていくってところに今はフォーカスしています」と、現在の取り組みを明かす。
安定して結果を出し続けることで1軍への道筋が開けてくる。「試合の中で成功体験を重ねて、自信をつけて、どんどんスキルアップしていくことが課題なのかなと私は思います」。懸念材料があるとすれば怪我の多さと好不調の波だという。修正能力を身につけ、パフォーマンスのムラを抑えることは欠かせぬスキルだ。
金城コーチも三塚の長打力には可能性を感じており「左投げ左打ちのパワーヒッターなので、今は彼の持ち味が出すことができているんじゃないですかね。バッティングがアピールポイントになってくる」と今季の状態を評価する。その上で球を捉えるという技術面については、まだまだ向上の余地があると見ている。
「フォークを振らされたり、変化球で攻められたり。そういったところをいかに我慢して、自分の強く打てるポイントで打てる確率を上げていくか、一発で仕留めるか。 1軍だったら、そんなボールは1球あるかないかなので」。現役時代に首位打者(2000年、打率.346)を獲得したヒットマンの目線で語った。
大卒選手と「比較されるのはもうわかっています」
来季、高卒入団5年目を迎える。同世代の大卒ライバルがプロの世界に飛び込んでくる。“高卒組”にすれば、下地作りを終えてさらなる結果が求められてくる。数字を残せなければ崖っぷちにも立たされる。
金城コーチは三塚が迎える新たなフェーズへのイメージを明かす。「大卒でドラフト上位で入ってくる選手と比較されるのはもう分かっています。でも、ある程度勝負できる状態にはあると思う。打撃では負けないというか、競争に勝っていきながら、自分のポイントを磨いていってほしいなと思っています」と期待を寄せる。
力強い言葉は大田コーチからも飛び出した。「彼に関しては伸びしろしかないので、そこに関して焦ってはいないです。時間をかけて、いい打者に育てていくというのは間違いないので。その中でファームでしっかり成績を残して1軍の出場機会を増やしていくことがまず大事かなと」。スケールの大きさを感じているからこその、成長曲線をイメージしている。
今季は1軍での出場機会はないが、ある意味で“想定内”だという。「来年、勝負かけられたらいいな、と。彼ともそう話しています。今はじっくり2軍で試合に出る中で、成績を残すことにフォーカスしているので」と大田コーチ。金城コーチも「2軍で経験を積んで、不安要素を取り除いて、自信を持って1軍の舞台に送り込めるように取り組んでいます」と“現在地”を示した。
「新しく入ってくる同世代の人たちには負けないように、アピールしていきたいです」
充実の“助走期間”を全力で駆け抜けている22歳。満員の東京ドームで大歓声を浴びる日は、遠くないはずだ。
(湯浅大 / Dai Yuasa)