救援防御率リーグ2位も…昨季とは顔ぶれガラリのブルペン陣
DeNAは9月8日時点でチーム防御率はリーグ4位の3.40ながら、救援防御率はリーグ2位の3.02を誇る。奮闘を続けるブルペン陣だが、特筆すべきはその顔ぶれが昨季とはガラリと変わっていることだ。
昨季の救援での登板数を見てみると、トップは伊勢大夢の55試合、入江大生と宮城滝太が50試合、ローワン・ウィックが40試合、坂本裕哉が35試合、森原康平と中川虎大が30試合と続いた。しかしウィックは昨季限りで退団し、入江は先発転向、森原は今年4月に右肘内側側副靱帯のインターナルブレース術の手術を行った。
そのため現在1軍登録されているメンバーの中で、昨年も多くの時間を1軍で過ごしたのは伊勢と中川虎くらい。そのほか今季から加入したショーン・レイノルズとホセ・ルイーズ、新戦力といえる浜地真澄、吉野光樹、岩田将貴、若松尚輝、“復活組”の馬場皐輔、石田健大となっている。
中でも、欠かせない存在となったのが“元阪神組”だ。2024年オフの現役ドラフトで加入した浜地は、昨年4月に受けた右肘手術の影響で同年オフに育成契約となるも、今年7月に支配下に復帰すると、ここまで23試合で防御率0.79、15ホールドをマークする。2024年限りで阪神を戦力外となり加入した岩田は、昨季は3登板で防御率18.00も、今季は21登板で同1.96の飛躍のシーズンとなっている。
高2夏に投げ合い「浜地はむしろバッターで有名だった印象ですね」
ともに1998年生まれの2人、実は「同学年」「阪神」というだけではない、浅からぬ縁がある。浜地が「本当に不思議な巡り合わせですよね」と話せば、岩田も「すごい縁ですよね」と笑う。話は、11年前にさかのぼる。
2015年7月9日、第97回全国高校野球選手権福岡大会・南部3回戦(春日公園野球場)で福岡大大濠高は九州産大九州高を2-0で破った。このとき9回120球を投げ3安打完封勝利し、打っては本塁打を含む3安打を躍動したのが福岡大大濠高の2年生・浜地だった。一方、8回6安打2失点と力投も敗れたのが岩田だったのだ。
2年春に選抜に出場していた岩田が、背番号「10」に“完敗”だった。このときは互いに、まだ顔と名前を知っていた程度。岩田は「たしかスライダーを打たれたんですよ。そのときは、浜地はむしろバッターで有名だった印象ですね」と懐かしんだ。
浜地は「九州四天王」と呼ばれるまでに成長し、2016年ドラフト4位で阪神に入団。故障もあり1、2年目は下積み生活を過ごしていた。3年目を迎える2019年1月、地元で行われた成人式に出席して再会を果たした際の様子を、岩田が明かす。
「浜地はすでにプロに行っていて、成人式で見つけました。それで写真を撮ってもらったんですよ。そうしたら2年後、同じチームになったんですよね」
九州産業大に進んでいた岩田は、福岡六大学野球で2年春にMVPを獲得。プロを目指しているときだった。記念撮影から2年後、2020年育成ドラフト1位で入団することが決まったのは、浜地がいる阪神だった。
岩田は阪神での在籍4年間は支配下に上がることができず、1軍で浜地と同じ試合で投げることはなかった。しかし2024年オフに同じタイミングでDeNA移籍が決まり、今季はともに投げるたびに自らの序列を上げ、勝ちパターンで継投する機会も増えている。
小杉コーチ「今までにない顔が戦力として出てくることはいい循環」
小杉陽太1軍チーフ投手戦術・育成コーチは浜地について「全球種のコマンドがすごくいい。正直すごいフォーシームを投げるわけではないですし、変化球の成分も平均よりちょっと上くらいなんですけど、投げ間違いがないですよね。四球が少ない。三振は多くはないですけど、しっかりゾーンの中で勝負できているというか、見ていて安心感はありますね」と評した。
また岩田については、8月2日に出場選手登録を外れて1か月弱の2軍調整期間があったことに「ちょっと疲れていたけど、また今はしっかりと彼のパフォーマンスを出してくれている」と安堵。同期間でツーシームの握りを変えたことが奏功し「左打者へのツーシームが球速も遅くて強度も少なかった。左打者の内角に食い込む、右打者であれば外角にちょっと山が少ないというか、強度があってシュート成分を出してくれる、それをファームで試して手応えを掴んで、上がってきても投げられているのがすごくよかったです」と成長を称えた。
昨季は3試合ずつしか投げていない2人だが、小杉コーチは「今2人がいてくれるのはかなり厚みを増していると思いますし、今までにない顔がこうやって戦力として出てくることはチームにとってもいい循環だと思うので、本当に心強い存在です」と頬を緩めた。
暑い夏の投げ合いから11年。1000キロ以上離れた横浜の地で、揃ってベイスターズに欠かせない存在へと成長を遂げた。
(町田利衣 / Rie Machida)