DeNAドラ3・宮下朝陽「右に打つ方が簡単」 “想定以上”の長距離砲…鈴木尚典コーチが惚れ込むワケ

“ハマの正遊撃手”を目指し、1軍で活躍を続けるDeNA・宮下朝陽【写真:荒川祐史】“ハマの正遊撃手”を目指し、1軍で活躍を続けるDeNA・宮下朝陽【写真:荒川祐史】

鈴木尚典コーチが明かす魅力「逆方向の打球が伸びる」

 ルーキーが“ハマの正遊撃手”の座へ歩を進めている。東洋大からドラフト3位でDeNAに入団した宮下朝陽(あさひ)内野手だ。遊撃手としてのスタメン出場はチーム最多の50試合。最大の魅力は、開発途上の長打力にある。(成績は全て9日時点)

 今季、宮下が放った7本塁打のうち、5本が“逆方向”の右翼席へ運んだもの。今月8日、横浜スタジアムで行われたヤクルト戦では、1点ビハインドの9回1死一塁の場面で、ライトオーバーの同点二塁打を放った。

「もともと広角に打てる能力を持っているバッターです。彼の長所ですから、どんどん伸ばしていってほしい。ドアスイングにならず、バットが内側から出ているから、逆方向の打球も伸びるのだと思います」。現役時代に首位打者を2度獲得し、1998年に主力としてリーグ優勝と日本一に貢献した球団の“レジェンド”鈴木尚典1軍打撃戦術・育成コーチが、宮下を分析した。

 5番を1度任されたことはあるが、打順は下位で起用されることがが多い。鈴木コーチは「何年後かには年間20~30本塁打を量産して、3、4、5番を担う長距離打者になってほしい。それくらいの魅力がありますよ」と惚れ込んでいる。

ルーキーながら、ここまで7本塁打を放っている【写真:荒川祐史】ルーキーながら、ここまで7本塁打を放っている【写真:荒川祐史】

「今はまだ本人には直接求めていませんが、30発打つなら右方向だけでなく、速い球をしっかりレフトへ引っ張れるようにならないといけない」と注文をつけたくなるのも、期待が大きいからこそだ。

 実際、8月1日に東京ドームで行われた巨人戦では、左腕・竹丸和幸投手が内角高めに投じたストレートを豪快に振り抜き、左翼席最上段に飛び込む推定飛距離123メートルの特大満塁弾を放っている。鈴木コーチは「ああいう打球が増えていけばいいですね」と目を細める。

北海高3年で春夏連続甲子園出場、冬はクロスカントリースキーで鍛錬

 宮下自身は「右方向へは“勝手にそっちへ飛んでいく”感じです。自分としては、引っ張るより、右に打つ方が簡単という感覚があって、その方が率も残ると思います」と説明する。「“打てるショート”を目指していますし、ホームランも打ちたいので、もっと上を目指してやっていきたいです」と力を込める。

 人口2275人(8月末現在)の北海道・黒松内町(くろまつないちょう)出身。「町で最初のプロ野球選手は、2学年上の広島の滝田一希さん(投手)。自分は2人目です」と苦笑する。中学時代は余市町の余市シニアに入団し、黒松内町から親が運転する車で片道1時間半かけて通っていた。

 北海高3年の時には主将を担い、4番・遊撃手として春夏連続で甲子園に出場。冬に同校伝統の練習メニューであるクロスカントリースキーで下半身を鍛えたことも、今の長打力につながっているのだろう。

 東洋大では1年の春から二塁手でレギュラーの座をつかんだ。“戦国”と呼ばれる東都大学リーグで、4年8シーズン中、過半数の5シーズンが2部でのプレーだったが、それでも2年の夏には侍ジャパン大学代表に選出され、1学年上のロッテ・西川史礁外野手、楽天・宗山塁内野手、西武・渡部聖弥外野手らとともに日米大学野球選手権に出場。アマチュア時代の大舞台での経験が、新人らしからぬ落ち着いたプレーに結びついているのかもしれない。

遊撃手としてのスタメン出場は、ここまでチーム最多を誇る【写真:荒川祐史】遊撃手としてのスタメン出場は、ここまでチーム最多を誇る【写真:荒川祐史】

 鈴木コーチは「プロでどういうタイプの打者として生きていくべきかは、だいたいプロ入りから3年の間にわかる。最初の1、2年は理想を高く持って取り組んでほしいと思います」と、“想定以上”の長距離砲に育ってくれることを願っている。

 遊撃手のポジションを巡っては、4年目の林琢真内野手、東洋大の2学年先輩で現在負傷離脱中の石上泰輝内野手、ベテランの京田陽太内野手ら、ライバルも多い。底知れない潜在能力を秘めるスター候補だが、まずは定位置固めが先決だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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