5回無失点で球団76年ぶりの新人開幕勝利投手
肉体的にパワーアップしても、技術に結びつけるのは簡単ではない。ロッテのドラフト2位ルーキー・毛利海大投手は、能力の片りんを示しつつ、プロの厳しさも味わっている。16試合目の先発マウンドとなった9日の楽天戦(ZOZOマリンスタジアム)は4回4失点で降板。勝敗はつかなかったものの、3試合連続で4失点を喫し、早いイニングでの降板と試練が続く。
「長いシーズンを経験するのが初めてなので、普段かかってこないような負荷が、今まで以上にかかってきているところがあります。シーズンが進むにつれて、どんどん全身がきつくなっていく。精神面も同じです。まだ新人で体も弱いですし、強くしていかないといけない。体の回復をメインに考えながらやっています」
即戦力の期待を受けて明大から入団した左腕は、開幕投手に抜てきされた3月27日の西武戦(同)で5回無失点。球団76年ぶりの新人開幕勝利投手となり、鮮烈なデビューを飾った。続く4月3日のソフトバンク戦(同)も7回2失点と好投。だが、同15日の日本ハム戦(同)で3回5失点KOされると、以降は打ち込まれる試合も出てきた。
その要因の1つについて「開幕の頃は体が元気でした。それと自分のデータが相手にないので、抑えられた部分があります。徐々にデータが出てきて、自分の癖や球種を含めて“裸”にされて、対策もされていると思います」と説明。もちろん、毛利も対抗するため「相手打者についてアナリストに聞きながら、相手が嫌がるコースを攻めたりしています」と研究に余念がない。
肉体面もプロ仕様に強化を図っている。プロ1年目ということもあり、無理をさせず、登板間隔を空けて調整することが多い。ウエートトレーニングに割く時間も十分あり「だいぶ、いじめられています」と苦笑いする。食事面も「大学までと全然違う。量も増えましたし、質が変わった。栄養管理士さんに何を食べたら効果的か聞きながらやっています」と工夫し、ゼリーなどの間食で空腹の時間がないように取り組んでいる。
その成果もあって体つきは変わってきた。入寮時、74キロだった体重は現在82キロ。8キロもボリュームアップしている。「体も少しずつ上がってきて、平均球速は1、2キロ上がってきていると思う」と手応えをつかんだ一方、変わってきた体に「合わせていく作業がなかなか大変です」と不安点を挙げた。
ここまで16試合に登板し3勝5敗、防御率5.21
「体が変わってきている分、ちょっと自分で扱いきれていない部分があります。どうしても細かいコントロールとか、対応できていないところがあるんです。体に合わせていくには投げるしかない。普段のキャッチボールだったり、ブルペンに入る回数を増やしたり、徐々に慣れさせていくという感じでやっています」
6月10日の中日との交流戦(同)では初回に5失点。その後も立ち直れず3回10失点と屈辱的なKOを経験し、精神面も見直した。「初回に5点取られて、引きずってしまいました。自分は失点した次の回に、また失点することが多い。これ以上失点しないようにと考えすぎてボール先行になっていました」。悪循環を解消するために意識したのは、気持ちの切り替え。また一から、ストライクゾーンでの勝負を心がけるようにしている。
10失点した試合後には2軍落ちも味わい、試行錯誤を続けながら、毎月1軍での登板は続いている。ここまで16試合に登板して3勝5敗、防御率5.21(10日現在)。開幕直後の投球を考えれば、物足りなさを感じる部分もあるが、ルーキーに多くを望むのは酷だろう。
「まずは怪我なくシーズンを戦い抜きたい。新人なのに使ってもらっている。本当にいい経験をさせてもらっています。なので絶対に怪我しないようにしっかりやって、シーズン通してしっかり戦えるように頑張りたいなと思います」
今は初めてのプロ野球のシーズンを戦いながら、飛躍に向けて必死に汗を流す時期。たくましさを増す肉体を思い通りに扱えるようになれば、スケールアップした毛利を見られるだろう。
(尾辻剛 / Go Otsuji)