「大谷選手、お時間をいただきありがとうございます……」。日本人でもスラスラ読める綺麗な文字で書かれている。アントーンはユニホームに大谷のサインをゲットしようと、直筆の手紙をしたためていた。
相手チームの選手からサインをもらう行為は、決して珍しいことではない。両チームのロッカールームを行き来していると、スタッフ経由で対戦相手の選手のユニホームやボールが渡され、サインする選手の姿はよく見かける。
長くプレーしていればサインをもらうチャンスはいくらでもあったはずだが、“苦労人”のアントーンにはその機会がなかなか訪れなかった。
プロ13年目でも…長いリハビリ生活「大谷選手の健康をお祈りしています」
2014年にプロ入りし、今季が13年目。ただ、プロ入り後は3度のトミー・ジョン手術を経験。メジャーで稼働するのは今季が実質5年目だ。
今季は5月に再昇格を果たすと、リリーフとしてフル回転。離脱することなく投げ続け、9月になってようやくドジャース戦を迎えた。どうしてもサインの欲しかったアントーンは、“礼儀”として直筆の手紙を添えたのだった。
「この日本語大丈夫かな? 英語の文章を翻訳アプリに入れて、文章を作ったんだ。書くのに20分くらいかかっちゃったよ」
32歳のアントーンは、筋金入りのコレクターでもある。家にはコレクションルームがあり、スター選手のユニホームが額に入れられ、壁一面に飾られている。
「モリーナ、ウェインライト、カーショー、ムーキー(ベッツ)、イエリッチ、トレバー・ストーリーとか、たくさんあるよ」。スマホを手に、部屋を誇らしげに見せてくれた。
怪我を乗り越えた自分だからこそ…より一層感じる大谷の凄み
大谷も今季、2度目の右肘手術から復活。アントーンはリハビリの苦労も分かるからこそ、その上で二刀流をこなす大谷には驚きしかない。
「メジャーリーグで投げるだけでも相当凄くないといけないけど、彼は投打両方やってる。両方をこなせる人なんて、成功させているのは文字通り世界で彼一人だけだよ。しかもそれを最高レベルでやってのける。だからこそ彼は最高なんだ」
「部屋にはたくさんカッコイイユニホームがある。だから、オオタニのサインも必要なんだ!」。少年のように笑ったアントーン。過酷なリハビリを乗り越えて掴み取った宝物は、コレクションルームで輝きを放つことだろう。