8月末に今季3度目の1軍昇格を果たした
迫る世代交代の波に抗う。ロッテ・坂本光士郎投手は8月29日に今季3度目の1軍昇格を果たした。24試合に登板しているが、ホールドを積み重ねた2023、2024年とは状況はやや違う。8月7日のオリックス戦にはプロ野球タイ記録の1イニング3死球という“屈辱”も経験し、現在のチームの勝ち継投左腕には鈴木昭汰投手が台頭する。それでも32歳の坂本は勝ちパターンへの強いこだわりを明かし、虎視眈々と復権を狙っている。
「正直、そこまで状態的にいいとは言えないですね。ピッチングコーチとも話しながら、どこがおかしいのかなっていうのをキャッチボールしながらやっています。頭が前に突っ込んでいるとか、踏み込みの足の角度とか、キャッチボールや傾斜を使いながら、そのあたりにアプローチしています」
8月12日に2軍で再調整となると、2試合の登板で計2回を投げ、打者11人に対し2安打3四死球の2失点。首脳陣が納得するような投球内容とは言えないが、約2週間後には1軍に呼ばれていた。
「必要じゃなかったら呼ばれないだろうし、呼ばれたからには、やっぱり結果を出さなきゃいけないというのはすごくあります。まずは、求められるところでしっかり投げられるようにと思っています」
このときの降格直前、8月7日のオリックス戦ではイニング跨ぎとなった8回に先頭の来田涼斗に死球を与えた。続く森友哉への初球も死球。その後、味方の失策なども絡んで1失点し、なおも2死一、二塁の場面で山中稜真にも当ててしまった。プロ野球記録に並ぶ1イニング3死球。思わぬ形で名前を残してしまった登板を冷静に振り返った。
「インコースを攻めないといけなかった」
この試合は先発した廣池康志郎投手が山中、西川龍馬、来田に本塁打を浴びていた。「すごく気持ちよくスイングして、打たれている部分もあったので、インコースは攻めないといけないかなというのはありました。それがコントロールできずに当ててしまったので、そこは本当に申し訳ないなと思います」。
強気な投球スタイルは坂本の武器でもある。ただ、「スライダーが制御できいなかったっていうのはあるので、そういう部分を少なくしていかないと、やっぱり勝ちパターンには戻れないかなと思いますね。修正できなかったのが悔しかったですね」。4日後のソフトバンク戦で1回4失点と崩れ、2軍降格を告げられた。
すでに1軍に復帰しているとはいえ、“足踏み”はできない状況だ。貴重な救援左腕として、2023年は51試合に登板し16ホールド、2024年は37試合で11ホールドの成績を残した。しかし、昨季は1軍での登板はわずか8試合で防御率6.35と厳しかった。現在はビハインドや点差が開いた場面での登板が多い。
「本当にもう、一年一年が勝負になってくると思います。今は投げさせてもらっていますが、いつまでも負けパターンではやっぱり“席”はなくなると思っています。勝ちパターンじゃないと生き残れないと思うので、そこはいつも目指してやっているところです」
体力的に厳しくなる終盤戦「どうにか力を求められたい」
勝ち継投のサウスポーでは鈴木昭汰投手がチームトップの28ホールドをマークしている。坂本は2024年から台頭する28歳を意識しているという。それでも「今の成績的には自分は劣っているので、今争うというよりは、自分の中でどれだけ抑えられるかが、勝ちパターンにつながっていくと思うので、目の前の試合を、という感じでやっています」と冷静に“現実”を見つめる。
それでもホールドへの思いは少しも薄れていない。「ホールド場面でも投げたいと思いますし、最後、みんなが疲れていくところで、どうにか力を求められたいというのは本当にありますし、やっぱりダメだったなっていう終わり方も嫌です。来年につながるような、最後良かったなって思えるように、残り試合をやっていきたいなと思います」。
シーズン終盤のパフォーマンスで印象は大きく変わる。「当然、このまま終わるわけにもいかないですし、いいピッチングを1日でも、1試合でも長くできればなと思っています」。強い言葉にはプライドと決意が滲んでいた。
(湯浅大 / Dai Yuasa)