巨人戦の延長12回に今季初登板、昨年9月14日以来ちょうど1年ぶりの白星
やっと、プロ10年目が“開幕”した。DeNAの佐々木千隼投手が14日、横浜スタジアムで行われた巨人戦の延長12回から今季初登板し、1回1安打無失点。チームがその裏にサヨナラ勝ちを収めたため、昨年9月14日以来、ちょうど1年ぶりに今季初勝利を手にした。
歓喜の輪の中で、笑顔が弾けた。度重なるコンディション不良によりファームでは17試合の登板ながら、防御率0.45の抜群の成績を残して9月13日に1軍に初昇格。そして翌日に大仕事をやってのけ、“勝ち運”を発揮した。
2016年ドラフト1位でロッテに入団し、ルーキーイヤーから開幕ローテーションを任された。2021年には中継ぎで54登板で防御率1.26をマークしたが、その後は登板数を減らし、わずか2登板に終わった2023年オフに現役ドラフトでDeNAに移籍した。
新天地1年目の2024年は28登板で防御率1.95と復活を印象づけた。さらなる飛躍を誓った昨季は20登板で同4.15に終わり、オフに大きな“賭け”に出た。今年2月の春季キャンプ、見違えるような姿になった佐々木千がいた。
「やっぱり状態がコンディショニング次第になってしまう部分があって、そこさえ整えばというのがありました。それを整えるためにいろいろ体のことを変えたりしたんですけど。トレーニングもだし、体質というか体型もですね」
取り組んだのは、減量だった。オフ期間に食事の見直しとトレーニングに励み、わずか3、4か月で最大で約16キロも体重を減らした。
2021年にはリリーフながらシーズン8勝をマーク…驚異の“勝ち運”も話題
「毎年何か変えないと、生き残れる世界じゃないなと。特にベイスターズに来てから、やっぱり強く思うようになりました。何か変化したいと毎年思っていて、たまたま今年はそこをやってみようと思ったということです。食事制限はせず、量は変えずに食べるものをちょっと変えました。油物や揚げ物を食べないとか、それだけですよ」
こともなげに言うが、筋肉量を減らさずに短期間でこれだけ減量するのは並大抵のことではない。しかし佐々木千には“持論”がある。
「やったら結果が出ることなので、別に苦じゃないです。自分が頑張れば達成できることじゃないですか。結構変わったので『すごいね』ってよく言われるんですけど、別に何もすごくはないんです。だけど野球って、やっても結果がうまくいくかわからない。結果はどうしようもないのがスポーツじゃないですか。だからそっちのほうがよっぽど難しいですよね」
努力の成果は、ダイレクトに体に表れる。ユニホームにはゆとりがあり、顔周りも明らかにシャープになった。最大で体重が約16キロ減ったことで、81キロになっていた。「動きやすさはすごく出るようになりました。軽さというんですかね。筋肉量は落ちなかったので。たぶん大学4年生のときと同じくらいかな。もっと減ったかもしれないです。服がブカブカなのでベルトをするようになりました」と笑った。
14日の初登板は、1死からボビー・ダルベック内野手に死球を与え、2死一塁から松本剛外野手に左前打を許して一、二塁のピンチを招いた。続く佐々木俊輔内野手に投じた変化球が逸れて古市尊捕手が捕球できず、後ろに転がった間に三塁を狙ったダルベックを三塁でアウトにして無失点で切り抜けた。完璧な投球とは言えなかったが、結果的にはチームに流れを引き寄せ、6連勝で勝率5割復帰を呼び込んだ。
2021年にはリリーフながらシーズン8勝をマークした驚異の“勝ち運”が話題を呼んだこともある。プロ10年目の1軍合流は最終盤となったが「何とか、どの場面でも貢献できるようにとは思っているので、そこを目指してやっていきたいなと思います」。残り14試合となったシーズンで、佐々木千が持つ“力”にも期待せざるを得ない。
(町田利衣 / Rie Machida)