NPBでピッチクロックはいつ始まるのか? 遅れればハンデに…導入決定も残る課題

12球団オーナー会議でゲームオペレーション委員会から報告
日本のプロ野球にも、投球間隔の時間を制限する「ピッチクロック」が導入されることが8月のNPB(日本野球機構)実行委員会で決まったが、導入時期や細かい罰則規定などは未だに不透明だ。9月16日に都内のホテルで行われた12球団オーナー会議でも、今後の課題などについて報告を受けるにとどまった。
「ゲームオペレーション委員会から、検討中のピッチクロック等の課題について報告を受けました。引き続き検討し、速やかに実現できるように指示しました」
オーナー会議終了後、議長を務めたDeNA・南場智子オーナーが記者会見し、こう語った。「日本のプロ野球が国際的な役割を果たしていく上で、ルールを国際的なものに近づけていくことは重要」と強調。ピッチクロックの本来の目的である試合時間短縮については、「メジャーリーグではキャッチャーがボールを長く持ったりして、効果について諸説があります」と指摘しつつ、「きびきびした試合運びにつながる点はポジティブに受け止めています」と評した。
実際のNPBへの導入時期については「選手の慣れ、選手の負担、設備面などを丁寧に検証する必要があると確認しました」と慎重な姿勢を見せた。
2023年からメジャーリーグに導入されたピッチクロックは、投手が無走者の場合は18秒以内、走者がいる場合は18秒以内に投球動作に入らなければ、1ボールが加えられるルール。一方、打者も制限時間残り8秒となるまでに打つ準備を完了しなければならず、違反すれば1ストライクが追加される。
今年3月のWBCにも採用され、侍ジャパンのメンバーのうち、“メジャー組”はともかく、普段NPBでプレーしピッチクロックに慣れていない選手たちは対応に苦慮した経緯がある。NPBへの導入が遅れれば、国際大会で侍ジャパンにとって重いハンデになりかねない。

侍ジャパン・井口監督初陣のアジアチャンピオンシップでも採用
侍ジャパン・井口資仁監督の初陣となる今年11月の「ラグザスアジアプロ野球チャンピオンシップ2026」でも、ピッチクロックは採用される(タイムは調整中)。さらに来年11月にはWBSCプレミア12第4回大会、2028年には2大会ぶりに野球競技が実施されるロサンゼルス五輪と、国際大会がめじろ押しである。
さらに、今季からメジャーリーグに導入されているABS(自動ボール・ストライク判定システム)も、将来的に国際大会に採用される可能性がある。
NPBの中村勝彦事務局長は、ピッチクロックの機器を扱うオペレーターの養成を「今オフの秋季キャンプからやっていきたい」と語る。
一方、各球団の本拠地球場はともかく、地方球場を含めて公式戦を開催する全球場にピッチクロックの機器を行き渡らせるのは、おいそれとはいかない。中村事務局長は「地方球場はやりません、というわけにはいかない。一斉スタートできないといけない。KBO(韓国プロ野球リーグ)ではいったんスタートして、何か月かで1度やめるということが起こったが、そういうことはなるべくないようにしたい。頭(開幕)からやるならシーズンを通したい」と課題を挙げる。選手、審判が慣れるのにも、それなりの時間と練習が必要だ。
報道陣から「シーズン途中から導入される可能性はあるか?」と問われた中村事務局長は、「今回のオーナー会議でそういう意見は出ませんでしたが、可能性がないということはないと思います」と答えたが、「ちゃんとしたスタートを切ることが望まれていると感じました」とも。拙速を避けるなら、2028年シーズンからの導入が現実的なのかもしれない。
相次ぐメジャーリーグ先行の新ルール導入に、日本球界は容易ではない対応を求められている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)