今季ワーストの7連敗…首位キープもSNSで飛び交う藤川監督批判
負け続けながらもゴールに近づいている。優勝へのマジックナンバーを点灯させ、9月に首位を走るチームが7つ続けて負けた異常事態。阪神は9月5日のDeNA戦(甲子園)から15日の中日戦(同)まで雨天中止2試合を挟んで、今季ワーストを更新する7連敗を喫した。
藤川政権下では、昨季交流戦以来のワーストタイという惨状だ。12日の巨人戦(東京ドーム)は0-1、13日から本拠地で行われた中日3連戦は初戦が延長11回の0-1、14日は0-6と3試合連続の完封負け。15日の同カードは1-4で敗れたが、森下翔太外野手が61イニングぶりの適時打で同点に追いついた直後の6回、53試合ぶりの失点となる石井大智投手の被弾で決勝点を献上する厳しいゲーム展開となった。
甲子園で中日に同一カード3連敗を喫するのは1998年7月以来28年ぶり。セ・リーグ球団相手の3連敗は今季初である。14日の試合後、甲子園には怒号が響いた。15日の6回、石井がミゲル・サノー内野手に勝ち越し2ランを浴びた瞬間にも悲鳴とため息が甲子園のスタンドを覆った。
それでいて優勝マジックは減り続けている。15日には「14」。2位・巨人もDeNAに3連敗したためゲーム差0.5は3日間まったく動かなかった。負けているのに、ゴールには近づいている。この奇妙な時間のなかで藤川球児監督への批判が噴き出している。
13日の9回2死満塁、9月無安打の坂本誠志郎捕手に代打を送らなかった采配。翌14日も0-4の7回に走者を二、三塁に置いて同じ選択をした。「動かない監督」という表現が並び、SNSには「失敗するのが怖いのか」という声が上がった。
15日には1-1の6回に石井を送り出した勝負手が裏目に出た。この起用自体に整合性はあるものの、説明不足に虎党からの批判も噴出した。
この状況を、阪神で指導者も務めたOBはこう受け止める。
「阪神の監督やってて、批判ゼロで終わろうと思ったら全勝するしか無理やねんけどね(笑)。まして、今年は素人が見ても戦力は阪神が圧倒的に強い。勝って当然の空気の中で勝ち切ることの重さですよ」
強いとされるチームが勝てない時、外から注がれる厳しい視線
このOBが指摘するのは、戦力そのものへの評価と、そこから生まれる圧力の関係である。「結局、やるのは選手なんですよ。素人が見ても誰が見ても戦力的には阪神が強いのは明らか。でも、そうなると、結果が裏目に出だすと、ホンマにこれでええんかという焦りがベンチ内に出てくるんですよ」。
強いと思われているチームが勝てないとき、外からの視線は「なぜ勝てないのか」に変わる。その問いは必ずベンチへ向かう。
そして、ここからが核心だ。
「その心の乱れは選手には伝わりますからね。ベンチが焦り出したらダメなんです」
連敗中に打てる手はあったはず。正捕手を外す。打順を大きく組み替える。代打攻勢に出る。どれも「動いた」という証拠にはなる。だが、それで翌日から猛虎打線が機能する保証はない。
むしろ、その一手が「ベンチも焦っている」というメッセージとして伝わる危険もはらむというのがこのOBの見立てである。
坂本誠志郎は9月無安打も…8月は打率.284、7本塁打をマーク
事実を並べ直してみると、その視点は説得力を持つ。7連敗のうち、相手先発がキャリア最高レベルの投球をした試合が3つある。12日は巨人・竹丸和幸投手が7回無失点10奪三振。13日は中日・高橋宏斗投手が自己最多の142球を投げ、12奪三振で9回無失点。14日はカイル・マラー投手が来日初完投完封に加え、自ら4打点と大暴れした。
一方の阪神も、13日は才木浩人投手が9回を無失点で投げ切っている。それでも勝てなかった。この3試合に関しては采配で相手を崩せた敗戦ではない以上、切り替えるしか道はない。
批判が出た坂本の起用についても、外から見えているものと、ベンチが見知っている現実とには差があるに違いない。9月に安打が出ていないのは事実で、15日終了時点で31打席連続無安打。打率も2割を切り、.198になった。それでも8月は打率.284、7本塁打、16打点。下位打線のポイントゲッターとして相手の脅威になってわけで、扇の要も担う存在をそう簡単に外す理由はない。
藤川監督の言葉も、あらためて読み直しておきたい。各メディアで「結果が問われる世界ですから、いま現状、自分たちのいる位置を把握しながら戦わなければいけない。ジタバタしないというのがまたひとつですけどね」。
先のOBがいみじくも語った言葉と重なる。
「ファンも応援しているなら信じてあげてほしい。難しいんやけどね。でも、間違えないでほしいのは『勝ったら選手たちのおかげ』、『負けたら監督の責任』という考え方を崩さないということかな。そう思ってる監督なら選手にも伝わるし、今の阪神なら必ず勝てますよ」
一戦必勝。残り16試合の藤川阪神を虎党は見守るしかない。
(楊枝秀基 / HideKi Youji)