「アメリカはカオス」だからこそ…感動した日本文化 友人の秋山翔吾へ「広島に行くよ」、忘れぬ“ご当地グルメ”

  • 小谷真弥
    小谷真弥 2026.09.20
  • MLB
レッズの救援陣の一員として奮闘するティジェイ・アントーン【写真:アフロ】 レッズの救援陣の一員として奮闘するティジェイ・アントーン【写真:アフロ】

レッズのアントーンが明かす日本愛、将来的なNPB挑戦の夢も

「いつか大好きな日本で投げたい」――。レッズの右腕ティジェイ・アントーン投手が、並々ならぬ「日本愛」について語った。大のユニホームコレクターとして知られる32歳は、自慢のスマホ画像を見せながら、かつてのチームメートである秋山翔吾外野手(現・広島)との深い絆や、将来的なプロ野球(NPB)挑戦の夢などを、あふれんばかりの熱量で明かしてくれた。

 193センチ、104キロの堂々の体格を誇る右腕はメジャー5年目の今季、自己最多の54試合に登板。3勝2敗1セーブ、防御率3.35の好成績を残しているが、メジャーの熾烈な生き残りレースにおいて、幾度となく「絶望的な苦難」に見舞われてきた。強烈な曲がり幅を誇るスイーパーと切れ味鋭いカッターを武器にブルペンの中核として頭角を現したものの、右肘のトミー・ジョン手術を2度経験するなど、想像を絶するリハビリ期間を経験している。

「もう投げられないかもしれない」という恐怖と闘いながらマウンドに立ち続ける右腕にとって、野球に対する情熱と精神的な支えとなっているのが、世界中の優秀なプレーヤーたちへのリスペクトや異文化への探求心だ。

 アントーンはメジャーでも屈指の「ユニホームコレクター」としての顔を持つ。「僕の宝物を見せてあげるよ!」と言わんばかりに、スマートフォンに保存されたコレクションの写真を自慢げに披露した。画面に映し出されたのは、ドジャースのムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン両内野手やレジェンドのクレイトン・カーショー氏、DeNAでもプレーしたトレバー・バウアー投手やアストロズのジョシュ・ヘイダー投手、ブルワーズのクリスチャン・イエリッチ外野手といった、球界を代表するスーパースターたちのサイン入りユニホームだ。

「気づけば35枚以上になってね。別の部屋にもまだ保管してあるんだ」。そう語る表情は、まるで野球少年のように輝いていた。

 数々のコレクションの中には、ドジャースの大谷翔平投手にサインをもらうためにニューヨークの「MLBフラッグストア」で購入したという、日本代表「侍ジャパン」のユニホームがある。「ドジャースやエンゼルスのものも格好いいけれど、ジャパンのユニホームを見た瞬間に『これだ!』と思ったんだ」と語る一着は、日本野球やその文化に対して抱く関心の高さを雄弁に物語っている。

2022年オフに日本へ旅行「広島のお好み焼き屋に行ったんだ」

 日本文化への傾倒は、単なる知識や憧れにとどまらない。2022年のオフシーズンに「2週間の日本旅行」を敢行。東京や京都を満喫しただけでなく、旅の途中では、かつてレッズで同僚だった秋山へ直接連絡を入れたという。「ショウゴ、広島に行くよ!」とメッセージを送ったアントーンは、現地で秋山と再会を果たした。

 当時の思い出について話が及ぶと、表情は一気に和らいだ。「ショウゴの家族と一緒に、広島のお好み焼き屋に行ったんだ。お店のシェフに『こうやってひっくり返すんだよ』と教わりながら、自分たちで鉄板で作ったんだよ。最高の思い出さ!」と笑い、今も大切に保存している当時の写真や動画を「見てよ、これ!」と愛おしそうに見せてくれた。

日本旅行中、お好み焼き作りに挑戦したアントーン【写真:本人提供】日本旅行中、お好み焼き作りに挑戦したアントーン【写真:本人提供】

 秋山について話が及ぶと、アントーンの言葉にはさらに熱がこもった。

「ショウゴはとにかく誰に対しても丁寧に接するし、毎日の準備を絶対に怠らなかった。『今日も最高のプレーをするんだ』という気迫とマナーを兼ね備えた、本当に素晴らしい選手だった」

 そのプロフェッショナルな姿勢こそが「日本文化の美徳そのもの」だと感じたという。

レッズ時代の秋山翔吾【写真:アフロ】レッズ時代の秋山翔吾【写真:アフロ】

「日本の街並みの綺麗さや、駅のエスカレーターで片側を空け、歩く人の道を確保するような秩序には感動したよ。アメリカはカオスなことが多いから(笑)。日本のそういう『お互いをリスペクトする文化』が大好きなんだ」と語った。

 日本での体験や食事、そして人々の温かさに魅了されたアントーンは、自身のキャリアの先にある「大きな夢」についても明かした。

「もちろん、メジャーリーグでできるだけ長くプレーしたいと思っている。でも、キャリアの最後には『日本でプレーできたら夢のようだな』と思っているんだ。広島でも東京でも北海道でも、美味しいラーメンさえあればどこへでも行くよ!」

 将来的なNPB挑戦へ、強い意欲を示した。

 最後に「将来日本でプレーする際、秋山選手と同じチームでプレーしたいか、それとも対戦相手として戦いたいか」と問うと、アントーンは「どちらになっても最高だね!」と答えた。そして「でも、僕が日本に行く頃には、ショウゴはもうチームの『監督』か『コーチ』になっているかもしれないね!」とチャーミングなジョークを交えて締めくくった。

 秋山との温かい思い出と「日本への愛」を胸に、NPBのマウンドに立つ未来を心から楽しみにしている。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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