DeNAはなぜ阪神を完封? 36歳捕手が伝えた金言…「そんなにうまくいかない」絶対王者の“凄み”

先発した片山晧心を迎えるDeNA・戸柱恭孝(右)【写真:井上学】
先発した片山晧心を迎えるDeNA・戸柱恭孝(右)【写真:井上学】

阪神とはレギュラーシーズン対戦なし「球筋を見たいのがバッター心理」

■DeNA 4ー0 阪神(16日・甲子園)

 レギュラーシーズン3位から日本シリーズ制覇まで駆け上がった2024年の再現へ向けて、DeNAが着々と歩を進めている。“捕手3人制”の中でピカイチの存在感を放っているのが、36歳のベテランで、2024年にクライマックスシリーズMVPに輝いている戸柱恭孝捕手だ。

 DeNAは16日、甲子園球場で阪神との「2026 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」ファイナルステージ第3戦に臨み、4-0で勝利。無傷の3連勝でアドバンテージを含めて3勝1敗とし、2年ぶりの日本シリーズ進出へ王手をかけた。「8番・捕手」でフル出場した戸柱は、好リードで先発したドラフト4位ルーキー・片山晧心(ひろみ)投手を7回2安打無失点の快投に導き、ファイナルステージ3戦連続完封勝ちを達成した。

 プロ11年目の戸柱は試合開始前、先発の新人左腕・片山にこう語りかけた。

「相手打線の目線で考えてみよう。初対戦の投手に対しては、初球から積極的に振っていくことがなかなかできない。何球か球筋を見たいのがバッター心理だ。だから、ファーストストライクは積極的に取っていこう」

 投球フォームが変則気味な片山は、今季8先発して3勝2敗、防御率2.64をマーク。しかし、阪神と中日には投げたことがなかった(広島戦に4試合、ヤクルト戦に3試合、巨人戦に1登板)。片山は戸柱の“金言”に従い、初回先頭から4回2人目の大山悠輔内野手まで、13人の打者に対し必ず2球目までにストライクを取り、そのうち8人は見送りストライクだった。カウントを有利に進めたがことが無四球(死球は1)につながり、CS初登板で自己最長タイの7回まで投げることもできた。

 戸柱は「ひろみ(片山)が1巡目にしっかりストライクを取ってくれたので、早いカウントから振ってくるであろう2巡目には、いろいろな球種を選択することができました。立ち上がり、中間、締めの球種の選択が、いい感じで繋がったと思います」と、してやったりといった表情を浮かべた。

2年前はCS7試合連続スタメンマスクで打率.346

 今季と同じレギュラーシーズン3位からCSを勝ち上がり、26年ぶりの日本一となった一昨年、クライマックスシリーズMVPを獲得したのが戸柱だった。この時にはファーストステージの第2戦以降、7試合連続でスタメンマスクをかぶり、打撃でも打率.346(26打数9安打)の猛打を振るった。

 しかし、だからこそ、戸柱は短期決戦の怖さもよく知っている。

 一昨年のファイナルステージでは、今年同様第1戦から無傷の3連勝を飾り、日本シリーズ進出へ王手をかけた後、2連敗してアドバンテージを含め3勝3敗のタイに追い込まれた。なんとか最終戦に競り勝ったが、戸柱は今年も「そんなにうまくいかないと思います。阪神さんはリーグ優勝したチームですから、何かしら絶対に対策してくると思いますし、簡単に勝てる相手ではない。ウチにもミスが出ているので、引き締めてやっていかなければならないと思います」と浮かれたところは微塵もない。

 今年のレギュラーシーズンでは、山本祐大捕手が5月の交換トレードでソフトバンクへ移籍した後、22歳の松尾汐恩捕手、24歳の古市尊捕手とともに3人で出場機会を分け合った。片山が先発した8試合も、スタメンマスクは戸柱が4試合、松尾が3試合、山本が1試合と多彩だった。加藤健バッテリー戦術・育成コーチは「投手との相性、相手打線との相性、その時の調子など、いろいろなことを考慮して、最終的には(相川亮二)監督が決めています」と説明する。

 CSでも戸柱が2試合、松尾も2試合、古市は1試合にそれぞれフル出場。戸柱は「チームで戦っているので、いろいろな情報を共有することが大事で、次に繋がると思います。誰がマスクをかぶろうが、みんなで共有していこうねっていう話をキャッチャー陣でしています」と明かす。

 20代前半の2人とコミュニケーションを深め、捕手陣をまとめていく役割も、戸柱にうってつけだ。大活躍した2年前とは違った形で、今年のCSでも快進撃の原動力となっている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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