大谷翔平に強打者の宿命「4/19」 20戦HRなしが誘う悪循環…PSで問われる自制心

大谷へ投じられた19球のうちストライクは4球のみ
【MLB】ブレーブス 3ー2 ドジャース(日本時間5日・ロサンゼルス)
ドジャースの大谷翔平が、強打者ならではの極限の罠にはまり込んだ。4日(日本時間5日)、ブレーブスとの地区シリーズ第2戦で相手バッテリーが見せたのは、徹底的な「ボール攻め」だった。
大谷へ投じられた19球のうちストライクはわずか4球。ストライクゾーンに来ない球を打ちに行き、自ら打撃を崩してしまう悪循環。焦燥感とプレッシャーが交錯する大舞台。今、求められているのは力でねじ伏せるスイングではなく、じっと好球を待つ静かなる「自制心」となりそうだ。
「ゾーン外の球を捉えて良いスイングをするのは非常に難しい。問題はそこに尽きます」
試合後、デーブ・ロバーツ監督が語った言葉は決して主砲への批判ではない。むしろ、現在の32歳が置かれている苦境と、強打者ゆえの葛藤を的確に言い当てたものだった。
ブレーブスバッテリーの狙いは明確だった。ボールゾーンへ落ちるスライダーや高めの誘い球を徹底し、甘い球は1球たりとも与えない。8月19日以降、レギュラーシーズンとポストシーズンを合わせて20試合で本塁打が出ていないという大谷の焦りが、本来のストライクゾーンを無意識に広げさせ、バットを空回りさせているように映る。
「完璧な状態ではないからこそ、多くをやろうとしすぎてしまっているのかもしれない。だが、この時期に完璧な体調の選手など一人もいない」
指揮官がかばうように、問題は身体面ではなく「チームを勝たせたい」という強すぎる責任感にあるのだろう。マークが厳しくなればなるほど、1試合に来る絶好球は1球あるかないかだ。そのたった1球を一振りに仕留めるために、どれだけ悪球を見送る忍耐を持てるか。
1勝1敗のタイ。6日(同7日)の第3戦は舞台を敵地アトランタへ移す。相手の術中にハマりボール球を追いかけ続けるのか、それとも見切って本来のゾーンを取り戻すのか。希代のホームランバッターに課されたテーマは、自らの欲を制御する「1球勝負の自制心」にほかならない。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)