「靴を並べろ」DeNA村田修一2軍監督が言い続けた“凡事徹底” 勝利と育成両立で優勝も…選手に伝えた最終目標

ファーム・リーグ中地区の優勝に導いたDeNA・村田修一監督【写真:町田利衣】ファーム・リーグ中地区の優勝に導いたDeNA・村田修一監督【写真:町田利衣】

ファーム・リーグ74勝40敗8分けで中地区初代王者も日本一は逃す

 DeNAの2軍は、3日に静岡で行われたファーム日本選手権の準決勝・巨人戦に1-3で敗れ、2024年以来2年ぶりのファーム日本一を逃した。同地区でデッドヒートを繰り広げた宿敵の前に涙を飲んだが、今季から3地区制に再編されたファーム・リーグでは、中地区で74勝40敗8分け、勝率.649の強さを誇って初代王者に輝いた。

 ファームで結果を残した選手が1軍でも存在感を見せるなど、チームは活性化。勝利と育成を両立させた村田修一2軍監督は「選手たちの頑張りもあって、最後の最後まで緊張感のある試合ができたなと思います。1軍に若い選手たちを送り込むことも多くできましたし、そういう経験をさせながらシーズンとしてはいい戦いができたなと考えています」と胸を張った。

 2025年からDeNAに復帰し、野手コーチとして主に1軍を担当。今季から2軍監督に就任し、着手したのは「人として、社会人として、どういう考え方で野球・私生活に臨むか」だった。

 2月1日の春季キャンプ初日から口を酸っぱくして言い続けたのは「凡事徹底」。それは「打ったら全力で走る」「ボール回しも気を抜かずにやる」といったことだけではなく「靴を並べろ」も含まれていた。

「来年はキャンプ1軍スタートできるような技術力を持たないといけない」

 それから約8か月。チームは確かに変わっていった。

「みんな人の靴を並べられるようになりましたし、『打ったら走れよ』とベンチから僕らが言わなくても選手同士で言うようになったので、その辺は自分たちで意識しながら野球と向き合ってくれているんじゃないかなと。そういう声が試合中でも出るようになったというのは素晴らしいことじゃないかなと思います」

 そして「まだまだ始まったばかりなので。まだ1年ですし、これを何年も続けながらうちの伝統として、そういうところがまずできない選手はこのチームの一員としては野球ができないというくらいの基盤ができるようにまた続けていきたいなと思ってます」と続けた。


2軍の選手たちに凡事徹底を言い続けてきた【写真:町田利衣】2軍の選手たちに凡事徹底を言い続けてきた【写真:町田利衣】

 シーズン“終了”をもって、選手たちに伝えたことがある。それは常日頃から説いてきた“最終目標”を再確認するものだった。

「今シーズン、頑張ったことは認める。だけど1軍で活躍するのが最後の君たちの目標だし、そこに向けて手を緩めることなく次に進んでいこう。この大会(ファーム日本選手権)が終わった時点で、もう来年の戦いが始まっていると思う。来年はキャンプ1軍スタートできるような技術力を持たないといけないと思うし、そこに呼ばれるような準備をしないといけない。ここで終わりじゃないので、休んでいる暇はない」

「来年も同じように勝てるとは思わないので、そこも厳しく」

 7日には宮崎県内でフェニックス・リーグが開幕する。ポストシーズンを戦う1軍に呼ばれる可能性もあるが、基本的には若手たちは約1か月の実戦漬けでレベルアップしなくてはならない。

 厳しい世界であることを身に染みて感じる時期でもある。9月28日から第1次戦力外通告期間が始まり、DeNAも29日に大量10人に来季の契約を結ばない旨が通知された。また翌30日には5人に来季の支配下契約を結ばない旨が通知された。来年も同じメンバーで野球をすることがないのが、このプロの世界だ。人間教育を重視してきたからこそ、村田2軍監督は言葉に力を込める。

「退団する選手もいますしいろいろなステップがあると思いますけど、そのステップに向かってまた自分で前進していく。誰かに決められるんじゃなくて自分で前進するっていう気持ちを持って、僕らもそうだし次のステップにみんな進んでいくことが大事だと思います」

ファームで力をつけて1軍で活躍したDeNA・深沢鳳介【写真:井上学】ファームで力をつけて1軍で活躍したDeNA・深沢鳳介【写真:井上学】

 ファームで力を付けた選手たちが1軍で多く花開いたシーズンだった。深沢鳳介投手、片山皓心投手らは先発の一角として頭角を現した。それでも「みんな今年で終わりじゃないので。来年も同じように勝てるとは思わないので、そこも厳しく、彼らにとって愛のある接し方ができればもっといい投手陣になっていく。そういう意味では若い選手、若い投手たちにはもっとハッパをかけていきたいなと思っています」と話す姿に“らしさ”が表れていた。

「一生懸命、全力でやるというのが、ファンの人たちが見て喜ぶ野球だし、それを僕らはサポートするだけ。その考え方が抜けている時には違うんじゃないかというアドバイスを送りながら、本当にみんなとともにつくり上げたシーズンだったなと思いますね」

 手応えと課題を持って迎える秋。来季を左右するであろう1か月も、村田2軍監督らしい愛ある指導が続く。

(町田利衣 / Rie Machida)

RECOMMEND

CATEGORY