山本由伸へ…「お前は壊れてない」 救世主の誕生前夜、キケとの対話がもたらした“転換期”

本塁打の10%以上をポストシーズンで記録…通算100発以上では唯一
【MLB】ドジャース 3ー1 ブレーブス(日本時間7日・アトランタ)
ドジャースのキケことエンリケ・ヘルナンデス内野手が、また大舞台で勝利を呼び込んだ。6日(日本時間7日)、敵地でのブレーブスとの地区シリーズ第3戦で先制2ランを放ち、勝利に貢献。満塁のピンチでは山本由伸投手を励ます場面もあった。2人の“対話”は、山本がメジャーで飛躍するきっかけにもなっていた。
4回にセールから先制弾を放ったキケは、3点リードの5回、1死満塁の場面でスミスとともに山本のもとへ向かった。「『自信持っていけ』みたいな感じでした。汚い言葉でしたけど(笑)」。試合後にそう振り返った右腕は、ボールドウィン、アクーニャJr.を続けて内野ゴロに打ち取り、失ったのは1点だけ。その後も追加点を許さず、7回10奪三振1失点と好投してチームを救った。
この日の一発で、ポストシーズン通算17本塁打。米データ会社「オプタ・スタッツ」によると、レギュラーシーズンとポストシーズンを合わせて通算100本塁打以上の選手のうち、その10%以上をポストシーズンで放ったのはキケだけだ。
昨年のワールドシリーズ第7戦前、キケは会見でポストシーズンの独特な空気について語った。レギュラーシーズンの1試合とは違い、集中力も緊張感も、スタジアムの熱気も高まる。「あのカオス(狂騒)こそが、僕の最高の力を引き出してくれるんだ」という。さらに、自身がADHD(注意欠如・多動症)であることも明かした。「僕の脳はいつもあちこちに散らかっているんだ」。
学校の課題を2か月放置して、最後の日に一気に終わらせるタイプだとたとえた。ただ、試合では9イニングでも18イニングでも集中を保てるという。「なぜかは自分でも分からないけどね。でも、それが上手く機能しているんだ」。
振り返れば、山本がメジャー1年目に苦しんでいた時期も、キケは声をかけている。2024年の地区シリーズ第1戦、山本はパドレス相手に3回5失点で降板し、ベンチで肩を落とした。その2日後、球団宿舎のスターバックスで、通訳を交えた約2時間の対話があった。昨年4月に地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」が伝えている。
キケには、山本が自身の投球に自信を持てていないように見えた。投げたくない球と、全力を注いで投げる球とでは、自信が違うとも感じていたという。自らが不振に陥った経験を踏まえ、伝えた。
「お前は壊れてなんかいない。ただ調整中なんだ。キミは独りじゃない」
対話を経て臨んだ第5戦で、山本は5回無失点と好投。ダルビッシュ有との投手戦を制し、翌2025年にはワールドシリーズで3勝を挙げてMVPに輝いた。今季も地区シリーズの大一番で7回を投げ切った山本は「すごい励まされました」とキケの声かけに感謝した。
(Full-Count編集部)