日の丸を背負うのは、万全の準備が整ってから――。井口資仁監督が指揮を執る「侍ジャパン」は、「ラグザス アジアプロ野球チャンピオンシップ2026」(11月12~15日、東京ドーム)に出場する28選手を7日に発表した。若手中心の選考のなかで、話題になったのがオリックスの「選出ゼロ」だ。選考前に井口監督が名前を挙げていた来田涼斗外野手は、なぜ選ばれなかったのか。
今回の大会における主な選考基準は、原則として24歳以下または入団3年目以内の選手としている。高卒6年目で今月16日に24歳になる来田は今季103試合に出場し、打率.260、9本塁打、43打点といずれもキャリアハイの成績を残した。将来の主軸として期待される有望株について、井口監督も視察時に「リストアップはしている」と明言していた。
「一応、お話はあったと聞いていたのですが、体的にも良くない部分もあったので……。仕方なかったです。万全の状態では絶対に無理でしたから」
「来年1年間戦える体を作りたい」
理由は上半身のコンディション不良だった。今季、自己最高の成績を残したが、体は満身創痍だった。「どの選手も痛い部分を抱えてプレーしていると思う。僕もできる範囲の痛さでしたし、ポジションを奪いにいく立場だった」。だましだましシーズンを完走したが、全力プレーできない状況で日本代表として活動するより、来季へ向けた準備を優先するのはプロとして当然の選択だった。
プロ野球選手であれば、誰もが憧れるであろう侍ジャパンのユニホーム。しかし、来田は苦笑いを浮かべながら、こう口にする。
「野球を始めた小学生の時から全く無縁でした。高校3年の時もコロナ禍で大会自体がなくなって。多分、それまでに選ばれていたら『またなりたい』と思うのかもしれないんですけど、本当に無縁なので。まだ実感が湧かないというか、どういうものかがあまり分からないんですよね」
今は己の足元を固め、確固たる地位を築くことが重要だという強い意志がある。来季が就任3年目となる岸田護監督のもと、チームは選手の数値化を図り、新たなアプローチでフィジカル強化に着手しようとしている。
「まだ、まだ足りない部分が多いので、そこはとりあえず自分の体と向き合ってという感じです。またイチから体作りをして、来年1年間戦える体を作りたいなと思いました」
明石商業時代の同級生・中森俊介に「頑張れと言っておきました」
現在は制限をもうけて練習を続けているが、手術に至るような重傷ではない。秋季練習、秋季キャンプでは更なるレベルアップを図っている。「とりあえず体を治して、キャンプをしっかりやり込めるようにしたいですね」。視線は2027年シーズンでのさらなる飛躍へと向いている。
自身は侍ジャパンの舞台を見送る形になったが、同世代の盟友には熱いエールを送る。明石商業時代の同級生でプロの世界でもライバル関係にあるロッテ・中森俊介投手の代表入りが決まると、すぐにLINEでメッセージを送ったという。
「『頑張れ』と言っておきました。ちょうどあいつの結婚式にも行くので。LINEで『頑張るわ』って返ってきましたよ」
そう語る表情にはグラウンド上とは異なる、23歳の青年の柔らかな笑みが浮かんでいた。
焦る必要はない。今はただ己の現在地を踏みしめている。確かな実力をつけ、誰もが認めるオリックスの中心選手となった時、日の丸は自ずと近づいてくるはずだ。堂々たる「主役」として侍ジャパンに名を連ねる日まで。来田涼斗は己と向き合い、静かに牙を研ぎ続ける。