CS直前、西武・平沢大河が頼ったロッテの元同僚 輝き放った「M51」…明かしたバット変更の裏側

CSファーストステージ第1戦で本塁打を放った西武・平沢大河【写真:黒澤崇】CSファーストステージ第1戦で本塁打を放った西武・平沢大河【写真:黒澤崇】

2024年オフの現役ドラフトで西武へ加入…1年目は打率.059も今季躍動

 現役ドラフトの新たな“成功例”となった。今季、西武2年目となった平沢大河内野手は、レギュラーシーズンでキャリアハイの成績を残し、4年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出に貢献。そのCSで使用していたバットが、ファンの間で大きな話題を呼んだ。

「充実していますし、去年とは全然違う状況なので嬉しいですけど、しっかり結果を出さなきゃなっていう緊張感がある感じですかね」

 2015年ドラフト1位で仙台育英高からロッテに入団。甲子園でも活躍したスター候補生として大きな注目を浴び、ルーキーイヤーには23試合に出場した。2018年には112試合出場したが打率.213。ロッテ在籍時はこの成績が最高だった。

 2024年に1軍での出場機会なしに終わるとオフの現役ドラフトで西武に移籍。1年目は7試合で打率.059だったが、2年目となった今季、眠っていた才能が目覚めた。

 91試合に出場しキャリアハイの71安打(打率.250)を残したが、数字以上に大事な場面での一打が光った。守備でも一塁、二塁、三塁、左翼、右翼で出場するなど、マルチなプレーヤーとして開幕直後の4月5日から1軍で駆け抜けた。

史上7人目の「CS初打席アーチ」

 日本ハムとのCSファーストステージ第1戦では、初回の第1打席で先制の本塁打。「CS初打席アーチ」は史上7人目となったが、偉業を生んだのはかつての仲間のバットだった。平沢が使用にいたる経緯を明かす。

「(自分のバットと)形が似ていたので。ちょっと重いんですけど、バランスも似ていたので」

 平沢が本塁打を放ったグリップエンドには「M51」の刻印。ロッテの山口航輝外野手のものだった。

グリップエンドに刻まれた「M51」【写真:井上学】グリップエンドに刻まれた「M51」【写真:井上学】

 レギュラーシーズン最終戦となった10月6日のロッテ戦で譲ってもらったという。「少し重たいのを使いたいと思っていて、最終戦のときに1本もらいました。その試合で使ったんですけど、1度も振らなかった(代打でストレートの四球)ので、CSの1戦目からですね、ちゃんと使ったのは」。

 今季リーグ2位の38本塁打を放った大砲のバットを使い、大舞台でいきなりの豪快アーチ。「ラッキーですね」と平沢は笑った。「今はいい感じです」と“山口バット”が気に入っている様子だった。

「助け合いながらここまでやってきた」

 28歳の“変身”について、立花義家打撃コーチが分析する。平沢のプロ1年目に、ロッテで打撃コーチを担当しており、昨年から西武で再び同僚となった。「やっぱり1位だっただけに当時からスイングは強かったよ」と振り返り、わずか7試合に終わった昨年との違いを語り始めた。

「去年とスイングの軌道が全然違うね。これまではアッパー気味になっていたけど、今年はレベルスイングで、ボールの軌道に入りやすくなり、“面”で捉えやすくなった。前は打ち終わりのバットの角度が上を向く感じだったから、それが真っ直ぐ(地面と並行)にする意識になった」。目を細めて「今年はいっぱいチームを助けてくれたからね」と誇らしげだった。

プロ11年目でキャリアハイの成績を残した【写真:加治屋友輝】プロ11年目でキャリアハイの成績を残した【写真:加治屋友輝】

 ライオンズは12日のCSファーストステージ第3戦に敗れてシーズン終了を迎えた。平沢は試合前に「苦しい時もありましたけど、みんなで助け合いながらここまでやってきたなと思います」と充実した道のりを噛み締めていた。

 3点を追う9回2死一塁。打席に入った平沢は、山口のバットで強烈なライナーを放つも、一直で一塁走者も帰塁できずにダブルプレーとなった。無念の最後の打者となったが、この緊迫感あふれるグラウンドで戦えたことが何よりの成長の証だ。

 現役ドラフトで自らの運命を切り拓いた男。2026年は進化の始まりにすぎない。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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