西武はなぜCSに弱いのか 日本ハムに感じた“割り切り”…敗退後、コーチ3人が明かした「課題」

日本ハムに敗れ、西武はCSファイナルステージ進出を逃した【写真:井上学】日本ハムに敗れ、西武はCSファイナルステージ進出を逃した【写真:井上学】

西口監督があげた課題「得点圏打率が低いので勝負強さを磨かないと」

“短期決戦に弱い”というレッテルを、今年も払拭することはできなかった。レギュラーシーズン2位の西武は12日、本拠地ベルーナドームで同3位・日本ハムとの「2026 パーソナル クライマックスシリーズ(CS) パ」ファーストステージ第3戦に臨んだが、1-4で敗れ、CS敗退となった。どうすれば短期決戦の“壁”を突き破ることができるのか。第3戦終了直後、複数のコーチに聞いてみた。

 西口文也監督2年目の今季、FAでDeNAから桑原将志外野手、日本ハムから石井一成内野手を補強し、チームスローガンには、課題の攻撃力向上の意志を込め「打破」と掲げた。その結果、チーム打率はリーグ3位の.244に上昇し、昨季まで3年連続5位以下に低迷していたチームが2位に躍進する要因となった。

 しかしCSでは、サヨナラ勝ちを収めた第1戦を含めても3試合で計4得点に終わり、再び“弱点”がクローズアップされた格好だ。西口監督は「まだまだ“打破”できていない。ウチのチームは得点圏打率が低いので、勝負強さというところを磨いていかないといけないと思います」と来季へ向けて改めて課題を挙げた。

西武・西口文也監督【写真:加治屋友輝】西武・西口文也監督【写真:加治屋友輝】

 残念ながら、西武は2012年以降、7度にわたってCSファーストステージで敗退し続けている。最後に突破したのは、渡辺久信監督時代の2011年で、ファーストステージで日本ハムに2連勝。しかし、ファイナルステージでソフトバンクに3連敗を喫し、日本シリーズ進出は逃した。

 その後は2012年にソフトバンク、2013年にロッテ、辻発彦監督が率いた2017年には楽天とファーストステージで対戦したが、いずれも1勝2敗で敗退。レギュラーシーズン連覇を果たした2018年、2019年でさえ、1勝のアドバンテージを与えられたファイナルステージで、ソフトバンクに敗れた。レギュラーシーズン3位の2022年も、ファーストステージでソフトバンクに2連敗。この15年間、CSで次のステージに進めていないのだ。

西武一筋の熊代コーチ、最後のステージ突破は「僕のルーキーイヤーですよ」

 熊代聖人外野守備・走塁コーチは、現役時代から西武一筋。「(西武が最後にCSファーストステージを突破した)2011年といえば、僕のルーキーイヤーですよ」と複雑な表情を浮かべる。「僕もありがたいことに(ソフトバンクとのファイナルステージ第3戦で)スタメンで出させていただいて(9番・中堅)、貴重な経験をさせていただきました」と振り返る。

 短期決戦突破のために、何が足りないのか。

 熊代コーチはまず、レギュラーシーズンとCSでは、戦い方に大きな違いがあると指摘する。

「たとえば、打つ時や盗塁をする時、相手投手の癖について6〜7割の確率のデータがあったとします。シーズン中は100%近い確率でないと使いづらいのですが、短期決戦となれば使えるものは全部使うべき。内容どうこうより結果で、どんな形でも成功すればOKですから」

 西武は今年のファーストステージ第1戦では、3盗塁を決めて勝利につなげた。熊代コーチは「特に3回の(西川)愛也(外野手)の二盗は、100%ではなかったけれど、『この癖が見えたら行ってくれ』と命じ、結果的に成功しました」と明かす。

 一方で「日本ハムの打者はみんな、狙い球を絞り“マン振り”するシーンが目立ちました。外野のポジショニングにも、思い切りの良さを感じました」とも語った。短期決戦でのデータの活用の仕方、割り切りに差があったと見ている。

 さらに「あとは、熱量ではないでしょうか」と熊代コーチは続ける。「もちろん、みんな一生懸命やっていますが、僕らコーチが選手たちにもっと火をつけたいと思いました。選手たちも一喜一憂するくらい、もっと闘争心を前面に出していいのではないでしょうか」と説く。

 熊代コーチ自身、現役時代はチームきってのムードメーカーで、試合前には円陣の真ん中で檄を飛ばし、時にはジョークを交え爆笑を巻き起こしながら、同僚を鼓舞していた。一方、現在のチームはおとなしい選手が多いといわれている。

 今季は“ガッツマン”の異名を取り、西口監督が「ウチに無いものを持っている」と見込んだ桑原が、開幕直後はチームをけん引していたが、故障でCSには出場できなかった。熊代コーチも「クワ(桑原)の姿を見ながら、もっと闘志を前面に出していいと思います」と頷いた。

鳥越ヘッドは「CS経験者が少なく、修羅場をくぐれていない」

 一方、西口監督の就任とともに昨年初めて西武のユニホームに袖を通し、“血の入れ替え”に貢献したのが、鳥越裕介ヘッドコーチと仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチだ。

西武・鳥越裕介ヘッドコーチ【写真:小林靖】西武・鳥越裕介ヘッドコーチ【写真:小林靖】

 鳥越ヘッドは、CSで敗退し続けていることについて「理由は相手があることですし、年によってチーム状態、怪我人など状況が違うので、一概にはいえません」。その上で「今年に関しては、僕らのベンチワークを含めて純粋に力不足。CS経験者も少なく、修羅場をくぐっていないですから」と3年連続CS出場の日本ハムと比べ、経験値の差を敗因に挙げた。

 仁志コーチは「短期戦には短期戦の戦い方がある。試合まで選手たちをどう導いていくか、試合運びをどういうものにするかは、こちら(首脳陣)側に大半の責任があると思っています」と反省した。

「来季もまず(レギュラーシーズンで)CSに臨む権利を取り、この舞台に立つことが重要。今年はAクラスを目標にして2位に入ることができたので、来季は優勝、それも2勝のアドバンテージを取ることを目標に掲げていいと思います」と力を込めた。

 今季、CS出場を果たしたことに、現場もフロントもファンも、大きな手応えを感じている。来季は“もう1つ上”を目指し、新たな戦いが始まる。

CS敗退後、ファンに挨拶をする西武ナイン【写真:井上学】CS敗退後、ファンに挨拶をする西武ナイン【写真:井上学】

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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