チケット売れまくりでも「さすがに弱すぎる」 中日暗黒の15年間…“脱OB”に滲む危機感

15日、中日・工藤公康新監督の就任会見が行われた【写真:黒澤崇】
15日、中日・工藤公康新監督の就任会見が行われた【写真:黒澤崇】

「次の100年に向けてのチーム作りを」と言いつつも「結果は早くほしい」

 切実な期待が、新指揮官に向けられた。15日に行われた中日・工藤公康新監督の就任会見。同席した加藤宏幸球団社長は、オファーの理由として「次の100年に向けて強固なチーム作りをしてほしい」と長期的なビジョンを見据えた思いを語った。とはいえ、球団創設90周年の今季はリーグ最下位に沈み、6年連続でBクラス。80周年だった2016年も最下位。節目を勝利で飾れないもどかしさは、言葉にも表れた。

「次の100年に向けてのチーム作りをお願いいたしましたが、正直に言いますと結果は早くほしいです。優勝争いはすぐにでもしてほしいと思っています」

 一球、一打にヒリつくような秋は、久しく味わっていない。2020年にリーグ3位に入ったものの、コロナ禍による短縮シーズン。クライマックス・シリーズに進出したのは、2012年まで遡らないといけない。この15年間で5度の最下位。8年間で4度のリーグ優勝と1度の日本一を成し遂げた落合博満政権の黄金時代が、はるか遠い記憶となった。Z世代は、“強いドラゴンズ”を知らない。

 弱小球団の不名誉なレッテルは定着したが、決して不人気球団に成り下がったわけではない。むしろファンの拡大は他球団に比べても顕著だ。今季の観客動員数は253万人で、大島宇一郎オーナーは会見で「実数発表を始めた2005年以降で、過去最高を2年連続で更新しております」と胸を張った。

 確かに「強さ」と「観客動員」はイコールでは結べない。落合政権下では、2008年の242万人が最高で、2011年には214万人まで減少した。“強くても客が減る”と揶揄された過去を振り返れば、“弱くても客が入る”現実はポジティブに映る。

バンテリンドームに集う中日ファン【写真:加治屋友輝】
バンテリンドームに集う中日ファン【写真:加治屋友輝】

満員御礼続きのバンテリンD…球団の営業努力と時流の後押し

 今や、バンテリンドームでの中日戦のチケットはプラチナ化しつつある。今季も6月以降は完売状態が続き、来場者へのグッズ配布などがあるイベントデーになると、ファンクラブ会員でさえチケットが入手できないこともある。さらに、ファンだけでなく、企業からの関心も高い。試合のスポンサーになる「冠ゲーム」は、ほぼ埋まっている。

 ビジネス面の躍進は、チケットや座席の種類の多様化やドーム空間の演出など、地道な球団の営業努力を土台に、プロ野球を取り巻く時流も後押しした。2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での世界一をきっかけに野球熱は上昇。“推し”を見つけて応援する楽しみ方も広がり、女性や子どもの来場者は格段に増えた。

 ドラゴンズやプロ野球の魅力を広く発信できている今だからこそ、チームの低迷が余計にもどかしいのも事実。球団内では「それにしてもさすがに弱すぎる。この状態が続けば、ファンが離れていってもおかしくない」とのため息も漏れる。

 名古屋のファンの懐は深いが、同時に厳しい目も持っている。手遅れになる前に、変わるなら今しかない。「これから先の未来を作っていくために、球団改革に全力で当たっております。その我々の球団改革と一体になって、協調しながら勝てる組織づくり、そういう至上命題を達成してくださる期待を込めてお願いをした次第です」。工藤新監督への期待の言葉とともに、大島オーナーは球団の“現在地”を語った。暗黒の15年間に終止符を打つのは容易くない。だからこそ外部人材の招聘という“脱OB”で、根っこから変えていくしかない。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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