捕手3人が証言…DeNA片山皓心が“勝てるワケ” 判明した驚愕エピソード、松尾汐恩は思わず「宇宙人です」

DeNA・片山皓心(左)と松尾汐恩【写真提供:産経新聞社】DeNA・片山皓心(左)と松尾汐恩【写真提供:産経新聞社】

CSファイナルS第3戦先発抜擢に応えて7回無失点「ちょっと出来すぎかな」

 ルーキーが大仕事を成し遂げた。DeNAの片山皓心(ひろみ)投手が16日、甲子園球場で行われた阪神との「2026 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージ第3戦に先発し、7回2安打無失点。1年前はまだ社会人だった2025年ドラフト4位左腕は「ちょっと出来すぎかなと思います」と初々しく喜んだ。

 初対戦の阪神打線相手に初回、安打と失策で1死一、二塁のピンチを背負ったが、4番の大山悠輔内野手をチェンジアップで遊ゴロ併殺に仕留めると波に乗った。2回から6回までは1人の走者も許さず。人生初の甲子園で7回を109球で投げ抜き、大役を全う。「小さいときから憧れていた場所で野球ができることがすごくうれしかったですし、チームに勝利を届けられたことがうれしいです」と拳を握った。

“阪神とのCSファイナルステージ第3戦で7回無失点と好投した【写真:井上学】”阪神とのCSファイナルステージ第3戦で7回無失点と好投した【写真:井上学】

 今季はデビュー戦となった4月25日の巨人戦(横浜)こそ3回途中7失点と打ち込まれたが、再調整を経てチャンスを得た7月19日のヤクルト戦(横浜)以降は7登板全てで5回以上を投げ2失点以下という安定感だ。

 シーズンの直球の平均球速は141.3キロ。打者を制圧する剛速球を投げ込むわけではなくとも、チェンジアップ、ツーシーム、カットボール、スライダー、カーブを織り交ぜ打者を翻弄する。

戸柱「試合になると荒れ感が出て、それがいい方向に」

“打てそうで打てない”理由を、3人の捕手が証言。すると投球術だけでなく、共通して飛び出したのは「天然」というワードだった。

 シーズンでは4試合でコンビを組み、16日のCSでもリードした戸柱恭孝捕手は「タイミングが取りづらいのと、ちょっと遅れて出てくるようなモーションじゃないですか。あとは制球が悪いわけじゃないんだけど、いい感じの荒れ方をしている。狙っているわけじゃないだろうけど、そこがハマっているのかな」と明かす。

 ブルペンでの投球は荒れることはないという。「でも試合になると荒れ感が出て、それがいい方向にいっている気がします。あとは抑えているので自信にもなっているなというのは、マウンドさばきや受け答えでも感じますね」とプロとして急成長を感じ取っている。

“16日の阪神戦で、片山の持ち味を引き出した戸柱恭孝【写真:井上学】”16日の阪神戦で、片山の持ち味を引き出した戸柱恭孝【写真:井上学】

 3試合でリードした松尾汐恩捕手も「腕が遅れて出てくるのでタイミングじゃないですかね。なんか速く見えます。本当に器用にいろいろなことができるので、そこが一番ですかね」と称える。

 ファームで何度もバッテリーを組んだ古市尊捕手は「真っすぐの強さはスピードガン以上のものを感じます。ファームでは投球術や制球の良さ、真っすぐのキレ、配球の精度はずば抜けているなと思っていました」と賛辞。「1軍に来た最初は思ったより四球が多いと思いましたけど、1軍で多く投げて慣れてきたのか、だいぶマウンドでも落ち着いているように見えます」とうなずいた。

ベンチに戻って衝撃発言「一塁ランナー、なんで出たの?」

 そして3捕手は左腕について「めっちゃ天然です」と口を揃える。

 戸柱が驚いたのは、マウンドでの“大物”ぶりだ。四球を出し、主将の筒香嘉智内野手や戸柱が声を掛けに行こうとすると、指示が出る前に「ごめん」とばかりに手で制したことがあったそうだ。「『あ、了解、了解』みたいな感じで。肝が座っているというか……」とベテランも驚くしかなかった。

 古市が「コミュニケーションをしていれば、バリ天然なことはわかります」と言えば、松尾も「エグいっす。(会話が)成り立たないですもん」と笑う。

 チームに衝撃を与えたのは、8月16日のヤクルト戦(神宮)でのこと。0-2の4回、2死二塁から伊藤琉偉内野手を申告敬遠で歩かせ、続く松本健吾投手との対戦で空振り三振を奪い、無失点で切り抜けた。

 ベンチに戻ると超真顔で「一塁ランナー、なんで出たの?」と問いかけたのだという。「申告敬遠を知らなかったのか、一塁走者がなんで出塁したんだろうって思いながら投げていたみたいです」と関係者。それでも抑えてしまうのだから末恐ろしい。

古市「我が道を行くタイプ」、松尾「物怖じしない」

 ある意味“鈍感力”はプロに必要な要素かもしれない。古市は「我が道を行くタイプというか。でもそういうのがいいんじゃないですかね」と言う。マウンドではしっかりとした言葉を掛けるように意識していたそうで「ハッキリ言えば切り替わる。そこは意識してファームのときはやっていました」と話した。

 松尾も「『何してんすか』とか言うと『ごめん』ってなってちゃんとするんですけど、すぐ忘れちゃうんです(笑)。“宇宙人”です。でもそれもひとつのいいところじゃないですか。物怖じしない。それが今(の結果)に繋がっているかもしれないですよね」と感心していた。

“ドラフト4位で入団し、プロ1年目から1軍で躍動【写真:井上学】”ドラフト4位で入団し、プロ1年目から1軍で躍動【写真:井上学】

 社会人5年目にしてプロの門を叩いたオールドルーキー。桐蔭横浜大時代には、練習の合間を縫ってスーパーマーケット「東急ストア」や配送会社「ヤマト運輸」、人気牛丼チェーン「すき家」でアルバイトをした経験も持つ。

 Honda入社1年目から、解禁イヤーとなる翌2年目は“ドラ1級”と目されていたが、12月に左肘を手術、2024年5月には再び同箇所にメスを入れた。回り道をしながらも、2025年ドラフトで指名された116人(育成含む)の中で最年長となる27歳でついに夢を叶えた。

 日立一高時代に縁がなかった聖地にたどり着き、見せた好投。相川亮二監督の「何も言うことがないような素晴らしいピッチングでした」という言葉が全てだった。

(町田利衣 / Rie Machida)

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