指名漏れの不安も…牟禮翔が何度も口にした「迷惑をかけた」 涙の母、誓った恩返し「弟たちを大学に」

両親と交わしたハグ
指名を受けた喜びと安堵の中で、何度も口にした言葉があった。「迷惑をかけた」――。22日に行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、九州国際大付高の牟禮翔外野手は日本ハムから2位指名を受けた。祝福してくれるチームメートを前に、少し照れくさそうな表情を浮かべながら語ったのは、これまで支えてくれた家族や仲間、周囲の人々への感謝だった。
昨秋の明治神宮野球大会では、九州国際大付高を初優勝に導く立役者となった。持ち前の打撃力でチームを頂点へと押し上げ、将来を期待される存在として注目を集めた。しかし、高校生活は順風満帆ではなかった。不祥事の影響で春のセンバツ出場はかなわず、夏の甲子園にも届かなかった。大舞台で力を示す機会を失った悔しさと、仲間への申し訳なさが胸に残り続けていた。
ドラフト当日を迎えるまで、不安は消えなかった。現在は寮を出て、実家がある岡山県から北九州まで、新幹線で通学する日々を送る。前夜には、両親に「(ドラフトに)かかるかな?」と何度もこぼしたという。そんな息子に母は「大丈夫、大丈夫、もう寝とき」と優しく声をかけた。自分を信じ、支えてくれた家族。その存在が、張り詰めていた心を少しずつ落ち着かせてくれた。
そして迎えた指名の瞬間。2位という予想以上の評価に「信じられない、という気持ちでいっぱいです。もっと下の順位だと思っていた」と驚きを隠さなかった。両親とハグを交わして喜びを分かち合い、母・広美さんは涙。仲間からも「ムレショーおめでとう!」と祝福を受けた。指名の安堵とともに込み上げたのは、支えてくれた人々への思いだった。
「いろんな問題があった中で、(ドラフトに)かかるのか、かからないのかという不安もあった。親にも迷惑をかけたと思うし、多くの人に迷惑をかけたと思うので。恩返しを少しでもできたかなという気持ちで、まずは安心しています。仲間にも迷惑をかけたところもあったけど、自分を信じてくれて、一緒に野球をさせてもらった」
何度も繰り返された反省と感謝の言葉――。仲間と一緒に野球を続けられたことにも「本当に感謝しかない」と語った。プロ入り後は、憧れられる存在になりたいという夢も口にした。
プロ野球選手として掲げる目標は、怪我をせずにプレーすること。持ち味である長打力を武器に「何年後かに30発を打てるようになりたいと思っています」と、プロの世界で大きく羽ばたく未来を思い描く。
5人兄弟の長男でもある牟禮には、小学6年、3年、1年の弟がいる。「弟たちを自分のお金で大学に行かせられるような選手になりたいと思っています」。その言葉には、多くの人への感謝を胸に、次の舞台で結果を残すという強い決意がにじんでいた。
(飯田航平 / Kohei Iida)