今季から背番号「120」…早実高以来の本格的な捕手挑戦
西武の野村大樹捕手が宮崎で行われている「フェニックス・リーグ」に参加し、充実の日々を過ごしている。育成契約となった今季は背番号を「67」から「120」に変え、捕手として再出発。異例の挑戦を続ける26歳を、首脳陣はどのように評価しているのだろうか。
「僕が1軍でコーチをやっている時(2024年)は大樹はファーストをやっていて、もうその時から守備は少し厳しいのかなと思ったんですよ。体の柔らかさとか、立ち姿とか、守備についている時の雰囲気を見ていたので、キャッチャーは大丈夫なのかな、というのはありました」
バッテリーを担当する野田浩輔2軍野手コーチは、野村の転向を知った際の正直な心境を明かした。野村は2024年7月に齊藤大将投手とのトレードでソフトバンクから西武に移籍。同年は一塁手として40試合(三塁手1試合、指名打者13試合)に出場し、打率.225ながら5本塁打、22打点とパワーを発揮した。
昨年は13試合の出場のうち9試合で二塁手として先発するなど、西武移籍後はさまざまなポジションを担ったが、5月8日に出場選手登録を外れると、7月に腰部の内視鏡下腰椎横突起形成術を受けた。オフに育成契約を結び、捕手として再出発することが発表された。
野村にとって早実高時代以来という本格的な捕手挑戦。今季は岡田雅利野手コーチのもと、主に3軍で特訓を重ねた。夏場に2軍に合流した際、野田コーチは成長ぶりに驚かされたという。
「久しぶりに見た時、チームで取り組んでいるフレーミングが、ものすごくうまかったんですよ。“あれ!?”と思いましたね」
「2軍でずっと中心になっている選手と遜色ない」
ファンの間でも話題となっていた野村のフレーミング。スローイングには課題を残すが、着実にステップアップしていることを実感した。非凡なセンスに加え、地道な努力が技術となり、野村の“存在感”を高めていた。
「シーズン中も含めて確実に段階を踏んでうまくなっているなというところと、本人のやる気と目標の高さですよね。日々、吸収しながら、もうフェニックス・リーグでは何て言うんですかね、是澤(涼輔)とか2軍でずっと中心になっている選手と遜色ないですよね」
宮崎では野田コーチとマシンを使ったブロッキングやスローイングの練習に汗を流す。試合中は投手とのキャッチボールはもちろんだが、ブルペンに足を運んで投手と会話を交わすなど、捕手としての立ち振る舞いも堂に入っている。
打撃力を活かす意味もあり、チームが期待する捕手転向。「バッティングは元々1軍で結果を出せる選手ですし、それプラス守備で遜色のない動きができているので、これはひょっとしたらチャンスがあるかなというところまで来たと思いますよ」。
野田コーチの言葉にも熱がこもる。さらに野村の打力が捕手としての“特徴”を際立たせているという。
「バッティングがいいからなのか、バッターの心理を読むのがうまいのかなと思います。今のところ、大量失点というのが本当にないんですよね。試合を任せてみると、最初は僕も不安な部分があったんですけど、なんとなく試合をちゃんと作るなっていうところはありますね。だから配球に関しては、あんまり言ったことはないです」
1軍捕手陣の壁は厚いが…抱かずにいられない期待
まず目指すべきは支配下登録となる。「1軍のキャッチャー陣のレベルが相当高いので、簡単にはいかないと思いますけれども、バッティングっていう武器を引っ提げていける分には、目をつけてもらえたらチャンスがあるんじゃないかなというレベルまでは来たかな」。野田コーチも驚く成長スピード。来季は2軍で経験を積むことができれば、その先に2桁の背番号も見えてくる。
「ここから先の壁はいくつもあると思うんですけどね。“それでも……”っていうところは正直ありますよね。最初はひどかったんですから(笑)。岡田コーチと『大丈夫か!?』なんて話もしました。でも、岡田コーチが頑張って育ててくれましたね」
大きくレベルアップしたからこそ、笑い話になった“当時の話”。まだ26歳。野村の挑戦にコーチも夢を抱いている。
(湯浅大 / Dai Yuasa)