阪神3連覇への“決定的な課題”「-22.8」 サトテル流出だけじゃない…現状維持に潜む暗雲

阪神・藤川球児監督【写真:黒澤崇】
阪神・藤川球児監督【写真:黒澤崇】

ディベイニーは定着できず…元山、熊谷、木浪、小幡でシーズン回すも

 阪神は4日、木浪聖也内野手が国内フリーエージェント(FA)権を行使せず、残留すると発表した。熊谷敬宥内野手も残留を決め、経験ある2人を来季も確保した。ただ、セ・リーグ連覇を果たしたチームにも課題は残る。ポスティングによるMLB移籍を目指す佐藤輝明内野手の動向とともに、遊撃の底上げは3連覇へ向けた重要なテーマとなる。

 遊撃の強化には昨オフも動いた。キャム・ディベイニー内野手を迎えたものの、1軍では10試合で打率.071、0本塁打、0打点。ファームでも66試合で打率.267、3本塁打にとどまった。定位置をつかむには至らず、木浪、熊谷、小幡竜平、新加入の元山飛優が遊撃を分担した。

 セイバーメトリクスによる分析を行うDELTAによると、阪神の遊撃手のUZRは12球団断トツで最下位の「-22.8」だった。同じ守備位置の平均と比べた失点阻止への貢献を得点換算する指標で、11位の広島とも10.5点の差があった。内訳の打球処理による貢献「RngR」、失策抑止の「ErrR」も最下位。失策の多さだけでなく、打球をアウトにする面でも他球団との差が出ている。

 その中で、西武を戦力外となって加入した元山は、遊撃でチーム最多の401イニングを守り、打率.240、出塁率.324を記録した。打撃、走塁、守備を総合したシーズン全体のWARは0.2。木浪は-1.0、熊谷は-1.4、小幡は-0.6で、4人のうちプラスだったのは元山だけだった。

 来季は、今季と同じ打線を維持できるとも限らない。3冠王に輝いた佐藤輝は、2日にポスティングの申請が受理された。WARはチームトップの7.9。移籍が実現すれば、主軸の打撃だけでなく、守備や走塁を含めた大きな貢献を失う。三塁の後任を決めるだけで、その穴が埋まるわけではない。

 遊撃の候補には、高寺望夢内野手も加わる。秋のフェニックス・リーグで遊撃に入り、ドラフト4位ではヤマハの相羽寛太内野手を指名した。球団公式サイトは相羽を「社会人トップクラスの守備力を誇る」と紹介している。既存の選手の巻き返しに加え、新たな候補を競争に加える動きも進んでいる。

 単年の指標で選手の能力や来季の成績まで決めつけることはできないが、それでも、遊撃守備でまたも他球団に差をつけられたことは、改善すべき材料として残る。佐藤輝の穴を補うことはあまりに難易度が高い。であれば、失点につながる穴となっていた遊撃のマイナス分を補うことが“戦力の上積み”になる。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~8』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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