「そんなことでは褒めません」――日ハム栗山監督の清宮指導はなぜ厳しい?

日本ハム・栗山監督【写真:荒川祐史】
日本ハム・栗山監督【写真:荒川祐史】

選球眼課題の19歳は初の対外試合で2四球も「普通だろ!」

 12年の監督就任から今季で8年目となった日本ハムの栗山英樹監督。球団では名将・水原茂氏の7年連続を超え、大沢啓二氏の9年連続に次ぐ長期政権となった今季は3年ぶりのリーグ制覇、日本一を目指しているが、指揮官の魅力の1つとして挙げられるのは若手の育成だろう。今季も、その手腕の一端が見える。

 17年ドラフト1位・清宮幸太郎内野手の育成だ。米アリゾナキャンプ中の6日(日本時間7日)には斎藤佑樹、清宮幸太郎がフリー打撃で”初対決”。豪快な柵越えを放った高卒2年目へ「この時期初めて投手を見るから分かるけど」と前置きした上で、「どっかに文句多いんだったら、幸太郎に文句多い。まぁそれはゆっくりと」とダメ出しをした。

 「5番・一塁」で先発出場した11日(同12日)の韓国NC戦も同じだった。打撃内容は空振り三振、左邪飛、四球、四球で2打数無安打2四球1得点。8回の第4打席では際どいコースを見極め、2打席連続四球を選び、チームの逆転勝利に貢献した。

 昨季は1軍で打率.200、出塁率.283。ボール球に手を出すシーンが目立ち、選球眼の向上は課題の1つだ。今季初の対外試合で見せた19歳の打撃内容は評価できるものだったが、指揮官は厳しかった。「今日みたいにボール球に我慢できるかが大きな課題。ガーンガーンと打つよりも今日はよっぽど意味のある打席が多かった。今日みたいにずっとやっていくのが重要。去年に比べたら、前に進んでいる」と評価したものの、最後にこう付け加えたのが印象的だった。

「ただ、普通だろ! そんなことで褒める、喜べるような打者じゃねぇだろ」

 大谷翔平投手がまだ日本ハムに在籍した時だ。栗山監督は大谷が圧巻のプレーを見せても、決して称賛することはなく、その評価はいつも辛口だった。その理由について、指揮官は「俺が認めてしまったら、その瞬間に(大谷の)成長が終わってしまう怖さを感じている。だから、絶対に認めないし、心の底から『まだまだ』と思っている」と明かしていた。

 早実で歴代トップの高校通算111本塁打をマークした清宮。メジャー志向が高く、マーリンズのセギノール国際スカウトは今季中の直接視察を予告。いずれは世界へ送り出すべき逸材だ。キャンプ中から炸裂する栗山監督の厳しさは、いわば清宮への期待の表れと言える。

 大谷を育てた栗山監督の“辛口指導”で、清宮がどのような成長曲線を描くのか。チーム戦績と共に注目だ。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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