グラブ職人が明かす名手のこだわり イチローのグラブは「作り甲斐がある」

本拠地を訪問した岸本さん、新しいグラブがしっくりこないことは「今でもたくさんある」

 マーリンズのイチロー外野手は25日(日本時間26日)、本拠地でのフィリーズ戦に代打で出場し、投ゴロに終わった。4試合連続代打出場で足踏みとなり、3000安打の金字塔へ残り4本のまま。試合前にはイチローのグラブ製作を手がけるミズノテクニクス「波賀工場」のグラブマイスター、岸本耕作さんがマーリンズ・パークを訪問。本人に3つの新しいグラブを手渡した。

 岸本さんは“グラブ名人”と呼ばれた坪田信義さんの後を継ぎ、2007年からイチローのグラブ製作を担当している。NPBでゴールデングラブ賞7度、MLBでゴールドグラブ賞10度を誇る名手のグラブの特徴については「柔らかくて軽くて、というのが特徴なんですけど、ただ柔らかすぎてもダメなので、その辺のバランスが難しいところです」と話す。

 マーリンズのチームカラーに合わせて革の色が明るいものに変化したことはあるものの、グラブの形自体はここ数年変わっていないという。岸本さんが担当になってすぐ、製作したグラブを渡しても、感触が違うとして使ってもらえなかったのは有名な話。イチローの繊細な感覚、野球用具に対する強いこだわりが感じられるエピソードだが、新しいグラブがしっくりこないことは「今でもたくさんあります」と岸本さんは明かす。

 もっとも、「最近は具体的に(問題点を)言ってくださる。今は端的に現象を捉えて言ってくださる。以前は『ストレスを感じる』とか、いろんな表現で言われていたんですけど」という。気候の違いなどでも革の柔らかさに影響があるといい、「そこも気にしないといけない」。職人として最高の技術を注ぎ込み、グラブを作っている。

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