首位独走のソフトバンクがなぜここにきて足踏み状態に?

浮上の鍵を握る「打線の繋がり」

 打撃10傑に6人が並ぶ強力打線や、“9人ローテ”と言われる先発投手陣など、パ・リーグでは群を抜く豊富な戦力を擁するソフトバンクホークスは、8月に入って一気に貯金を18から26まで増やし、首位の座を盤石なものとした。しかし8月12日から足踏みが続いており、27日現在で貯金は24となっている。

 なぜソフトバンクの勢いは停滞気味なのか。スポーツコメンテーターの飯田哲也氏は、打線の繋がりに足踏みの理由を求めている。

「シーズンを通してチームを引っ張ってきた柳田が、完全に調子を崩してしまっています。彼のところで、打線が切れてしまうことが多いですね。24日のロッテ戦でも、ランナーのいる場面で3度打席が回ってきましたが、いずれも凡退。あまり状態が良いとは言えませんね」

 柳田悠岐はここ5試合を見ても20打数3安打、打率は.150で打点も1だ。

「長いシーズンですからこういうときもあります。内川あたりはしっかりと塁に出ていますが、その他が上手く繋がっていかないんです。チャンスで下位打線に回ってしまったり、調子を崩している柳田で切れてしまったり、チームとして巡りが悪いという感じは受けますね。また、本多が戦列を離れていることも少なからず影響を与えていると思います」

 貴重な繋ぎ役としてチームを支えていた本多雄一が、8月初旬に受けた死球による骨折で戦線離脱したことも、打線の繋がりを欠くひとつの要因になっているのは間違いないだろう。ただ、ポジティブな面もある。飯田氏はこう分析する。

「ただその一方で、吉村が素晴らしいバッティングを見せています。負傷していた松田が戻ってきたので、絶好調の吉村をスタメンから外さなければならないのは痛し痒しな面もありますが、今の吉村は全盛期を思わせる状態の良さを見せています。また、もちろん松田が戻ってくることも好材料です」

 7月初旬に右手人差し指の骨折で戦列を離れた松田宣浩は、26日の日本ハム戦、7番サードで復帰すると、4打数1安打で早速打点もマークした。打率.360と好調な吉村裕基はスタメンから外れてベンチスタートとなった。

「松田が戻ってサードに入ったので、吉村を外さざるを得ません。好調な吉村が代打に控えるのは相手チームにとって脅威だとは思いますが、柳田の調子を考えると、中村を外野に回し、吉村をファーストで起用することも視野に入れた方がいいかなと思います。打者が調子を崩しているとき、一度休むことでリフレッシュできることもあります」

 26日の日本ハム戦で秋山監督は、松田を7番サードで復帰させ、柳田と長谷川勇也の打順を入れ替えて臨んだが、この日も打線の繋がりを欠いて2-4で敗れた。オリックスがロッテに快勝したため、ゲーム差は2.5と詰まっている。

 いかに打線の繋がりを取り戻すか。いずれにせよ、ソフトバンクが豊富な戦力をベースに、安定した戦いを続けていることは確かだ。終盤戦、再び勢いを取り戻してパ・リーグを制覇するために、秋山監督はどのような舵取りをするだろうか。

【了】

飯田哲也プロフィール

スポーツコメンテーター。1968年東京都出身。1987年に捕手としてヤクルトスワローズに入団、主に外野手としてヤクルトの1番バッターを長く務めた。2005年からは2年間楽天イーグルスに在籍。2006年に現役を引退すると、古巣ヤクルトで2013年まで守備・走塁コーチを務めた。
飯田哲也オフィシャルブログ

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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