ア・リーグMVPを予想 本命はア軍ブレグマン、対抗はエ軍トラウトか

アストロズのアレックス・ブレグマン【写真:Getty Images】
アストロズのアレックス・ブレグマン【写真:Getty Images】

選手の貢献度を表す指標「WAR」ではブレグマンとトラウトが僅差の争い

 MLBでもワールドシリーズが終われば、MVPなど各部門の表彰が行われる。今季のMVPについて予想しよう。

 MLBのMVPは、NPB同様に記者投票で選出される。ただ、選定基準はNPBとは微妙に違う。

・ポストシーズン(地区、リーグシリーズ、ワールドシリーズ)の成績は加味されない
・リーグ優勝チームから選ばれることが多いが、例外もある。
・主に野手から選出される。
・投打タイトルについてはあまり考慮されない。
・WARの数値が重要視される。

 WAR(Wins Above Replacement)とは、セイバーメトリクスによる打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標。投手も野手も比較することができ、近年、選手の評価や契約などで最重要視されている。

 MLBでも投手がMVPになるケースが散見されるが、それは投手、野手を通じてWARが1位になったケースに限られる。現在では、投手だけのMVPは「サイ・ヤング賞」とみなされている。

アメリカン・リーグのMVP候補についてみていこう。WARは、Baseball Reference発表のもの。

○過去10年のア・リーグのMVP(チーム名/地区順位)WはWARとそのリーグ順位 ※は投手。

2018年 Mベッツ(レッドソックス/東1)32本 80点 率.346 W10.9(1)
2017年 Jアルトゥーべ(アストロズ/西1)24本 81点 率.346 W8.1(2)
2016年 Mトラウト(エンゼルス/西4)30本 116点 率.315 W10.5(1)
2015年 Jドナルドソン(ブルージェイズ/東1)41本 123点 率.297 W8.5(2)
2014年 Mトラウト(エンゼルス/西1)36本 111点 率.287 W7.6(2)
2013年 Mカブレラ(タイガース/中1)44本 137点 率.348 W7.3(4)
2012年 Mカブレラ(タイガース/中1)44本 139点 率.330 W7.1(5)
2011年 Jバーランダー(タイガース/中1)24勝5敗 防御率2.40 W8.6(1)※
2010年 Jハミルトン(レンジャーズ/西1)32本 100点 率.359 W 8.7(1)
2009年 Jマウアー(ツインズ/中1)28本 96点 率.365 W7.8(3)

 10年間で9人が野手。また4人がWAR1位。地区の優勝チームから9人が選出されている。

 2012年、13年にミゲル・カブレラが連続でMVPを受賞しているが、いずれもWARの順位は低い。12年はトラウトがWAR10.5で1位だった。しかしカブレラは1967年のヤストレムスキー(レッドソックス)以来45年ぶりの三冠王。WARを重視する記者と、従来の記録を重視する記者で票が割れた。

 翌年、カブレラは連続首位打者。WAR1位はこの年も9.0でトラウトだったが、カブレラが2年連続で受賞。トラウトは2年連続で2位になっている。WARが重視されているが、記者の価値基準は今も多様で、揺れ動いている。

○今季のア・リーグWAR上位5人

1 Aブレグマン(アストロズ/西1)41本 112点 率.296 W8.4
2 Mトラウト(エンゼルス/西4)45本 104点 率.291 W8.3
3 Mセミエン(アスレチックス/西2)33本 92点 率.285 W8.1
4 Jバーランダー(アストロズ/西1)21勝6敗 防御率2.58 W7.8※
5 Mマイナー(レンジャーズ/西3)14勝10敗 防御率3.59 W7.6※
 
 ア・リーグのWARは上位6人までが西地区。優勝のアストロズは30球団最多の107勝を挙げたが、今季のア・リーグは西地区が優勢だった。

 アレックス・ブレグマンが1位。僅差で今年もトラウトが2位につけている。ブレグマンは内野手で、守備のポイントは外野手のトラウトよりも高い。打撃だけならトラウトが1位だった。

 トラウトは2012年以降の7シーズンでMVPを2度受賞したほか、4度も2位になっており、現在のMLBで最も優秀な選手といえる。ちなみに今季の大谷翔平のWARは2.5、リーグ55位だった。

 MVPの本命はブレグマン、対抗はMVP投票常連のトラウトだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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