ぺラルタの大型契約を疑問視する声も メジャーから薬物は排除されるのか?

薬物規定違反の選手が掴んだ大型契約

 メジャーリーグから完全に薬物を排除することは出来ないのだろうか。タイガースからFAとなったジョニー・ペラルタ内野手(31)が、カージナルスと大型契約を結んだことが米国内で波紋を呼んでいる。問題となっているのは、ペラルタが今夏に薬物規定違反で出場停止処分を受けていた点だ。厳しい条件を突きつけられてもおかしくない立場にある選手が大型契約をつかんだことで、薬物使用を促進する結果になるのではないかと危惧する声が上がっている。

 今年8月、ヤンキースのアレックス・ロドリゲスら計14選手に出場停止処分が科された。マイアミのクリニックが2009年から昨年まで選手に禁止薬物を提供していたとする問題に対する罰則だった。手口の卑劣さなどを指摘されたAロッドには211試合、そしてリストの中に名前が含まれていたペラルタも“初犯”として50試合の出場停止処分を受けている。ペラルタはレギュラーシーズンの残り試合を欠場。だが、タイガースはプレーオフに進出したため、そこではスタメンに名を連ねることもあった。

 そして、ワールドシリーズ終了から約1か月後の今月24日、カージナルスはFAとなっていたペラルタと契約に至ったことを発表。内容は4年総額5300万ドル(約54億円)という破格のものだった。カージナルスだけでなく、ヤンキース、メッツといった球団も獲得に動いていたとされ、争奪戦になっていたことも、カージナルスが大型契約を提示した理由の1つと見られる。しかし、この結果が反感を買った。

 真っ先に批判したのは選手だった。ダイヤモンドバックスの中継ぎ右腕ブラッド・ジーグラーは、ツイッターで「詐欺への報酬だ」と痛烈な言葉を浴びせている。同じ選手として、薬物に頼らずに真摯に野球に取り組み、処分された選手たちとは不公平な条件で対戦してきたのだ。怒りは当然の感情と言えるかもしれない。「オーナーたち、薬物使用を推し進めてくれてありがとう」と皮肉り、「我々は50試合の出場停止が抑止力になると思っていた。でも、明らかにそうではない。考えなさなければいけない」と訴えている。

 また、ペラルタ獲得を狙っていたメッツのサンディー・アルダーソンGMも疑問を投げかけた。「人々はペラルタの契約に驚いているだろう」と巨額が動いたことを遠回しに批判している。さらに、米FOXスポーツの名物記者であるケン・ローゼンタールは、特集記事で「禁止薬物使用で出場停止となる選手への罰則を強化する転機となる」と指摘。「システムは機能していない。変更する必要がある」と問題提議している。一方で、カージナルスのジョン・モゼリアクGMは「彼はFA選手で、契約を出来る立場にある。彼はすでに過ちを認めて、償ったからだ」と反論したが、旗色は悪い。

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