社会人大会中止も前向く元日ハム新垣勇人 東芝コーチとして「経験させてあげたかった」

東芝野球部で投手コーチを務める新垣勇人氏【写真:安藤かなみ】
東芝野球部で投手コーチを務める新垣勇人氏【写真:安藤かなみ】

投手コーチの新垣勇人氏が語る「選手たちには経験させたかった」

 社会人野球も新型コロナウイルスの影響を受けている。3月12日に開幕を予定していた「第75回JABAスポニチ大会」をはじめ、各連盟が管轄する大会も相次いで中止。4月2日には第45回全日本クラブ野球選手権大会、第46回社会人野球日本選手権大会、一部のJABA公式大会の中止も決まった。

 多くの大会でトーナメント制を採用している社会人野球の場合、リーグ戦の戦績が大きな大会の出場権に直結するほか、プロ入りを志望する選手たちにとっても貴重なアピールの場にもなる。大会の中止を受けての影響や、公式戦がなくなったことへの対応について、3月末に、元日本ハムで現在、東芝野球部投手コーチの新垣勇人氏に語ってもらった。

「いろんな影響があったので、中止になったことはしかたがないですね。でも、選手は前を向いています。みんな不安がってもいないし、『どうなるの?』ということも一切聞かない。やるべきことは明確にチームで決まっているのでモチベーションを落とさずにやっています」

 公式戦がなくなったことで、試合形式のシート打撃や練習試合を増やすことで対応しているという東芝野球部(取材当時)。練習試合では、ピッチャーを実際の公式戦と同様に起用するなど、できる限り実戦に近い形を取ってゲームに臨んでいる。新たに人工芝に張り替えられたグラウンドの上で、選手たちはいつもと変わらず練習に励んでいるが、埋められないものもある。

「強いて、言うなら経験です。特に若い選手の中には、入社してまだ試合経験のない選手もいます。社会人野球には負けられない試合があって、そこがオープン戦と公式戦の違いでもある。そこの部分の経験の差はあるかなと感じています。(今回中止になった)スポニチ大会もリーグ戦ですが、最後は4チームで決勝トーナメント。負けられない試合をやるので、そこは経験させてあげたかったかなと思います」

「なんのために都市対抗、日本選手権に出るのかと言えば、やっぱり会社に野球をやらせていただいて、会社に貢献する、チームに貢献するためだと。それも今は変わっていない。チーム全体としてそういう風にやっています」と新垣コーチは胸を張る。

 新型コロナウイルスによる影響はプロ、アマ問わず大きくなっているが、それぞれのチームが目標に向けて準備を続けている。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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