ダルビッシュも敬意を表す、色褪せることない野茂英雄の功績

パイオニアの輝き

 パイオニアの輝きは色あせることはない。ドジャースなどで活躍した野茂英雄氏(45)が、先月26日に発表された米野球殿堂入り候補者にノミネートされた。日本人では初の快挙で、同29日には日本の野球殿堂でも候補者となった。1995年に海を渡り、道を切り開いた男の偉大さは、後輩の日本人投手が活躍するほど際立ってきている。

 今季、メジャー2年目のダルビッシュ有は驚異的なペースで三振を積み上げた。そして、試合で奪三振ショーを披露する度に、先人の名前がクローズアップされた。今季の奪三振数はメジャー断トツとなる277。これまでの日本人記録で、野茂氏がメジャー1年目にマークした236奪三振を上回った。デビューからの三振数でも、昨年から36試合目の5月5日・レッドソックス戦で293Kとし、歴代2位だった野茂氏(288K)のペースを初めて抜いた。

 数字上では、ダルビッシュは確かに野茂氏を上回った。ただ、パイオニアの記録は、日本人先発投手の実績が全くなかった時代に残されてきたもの。そこに飛び込み、メジャーの猛者をなぎ倒してきた男には、ダルビッシュも素直に脱帽する。日本人歴代最多となるシーズン237個目の三振を奪った9月5日のアスレチックス戦後には、敬意を表してコメントを残している。

「野茂さんとは、まだ僕は全然比べられるような位置にも行けてないです。数字的には確かに超えたかもしれないですけど、やっぱり時代も違いますし、野茂さんは真っすぐとフォークだけで、それだけやっていますので。さっきも言ったように、比べられるような選手でもないです。でも、並べたり、超えられたりっていうことは光栄ですし、いずれは比べられるような選手になれるようにとは思います」

 同じように海を渡り、メジャーでマウンドに上がり続けたからこそ、言葉には実感がこもっていた。

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