タイトルよりも投球回で貢献…ホークス千賀が志願先発「チームのことが一番」

ソフトバンク・千賀滉大【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・千賀滉大【写真:荒川祐史】

規定投球回まで6イニング、負ければ初タイトルを逃す可能性も

 こんな考え方の投手もいるものだ。今季のペナントレースの本拠地最終戦となる6日のオリックス戦(ヤフオクD)で先発するソフトバンクの千賀滉大投手。5日の全体練習では、キャッチボールなどを行って調整した右腕は、目の前にある個人タイトルには全く興味がないようだ。

 現在、21試合に先発して13勝4敗をマーク。137回を投げており、規定投球回到達まで、あと6イニング足りない。勝率.765でリーグトップに立ち、すでに最高勝率の条件である13勝を挙げている。もし黒星を喫すれば、16勝5敗で勝率.762のチームメート・東浜巨に逆転を許してしまう。このままシーズンを終えれば、タイトルを獲得することができるにも関わらず、それに構わずに登板する道を選んだ。

 前回登板の9月25日楽天戦(ヤフオクD)では6回8安打7失点と、本来とは程遠い内容に終わり、工藤公康監督からも「バッターと戦っているようには見えない」と厳しく叱責された。目の前にタイトルの可能性があれば、闘志に火が着きそうなものだが、千賀は「前回のマウンドで、タイトルを目の前にして燃えてくるものがあるんだと思っていたけど、自分の中で燃えてくるものが何もなかったんですよね。自分のことへの思いは何もないんだな、と思いました」と語る。

 チームの勝利と、1年間先発投手として役割を全うした証と言える規定投球回到達こそが、千賀の思うところ。6日はホームでのペナントレース最終戦ということもあり、ファンのために勝って締めたい思いもある。

「ちゃんと投げるというところが一番かなと思います。体のケアとフォームを見直してきた。それを出せるように準備するだけ。体のブレが大きくなっていたので、それを直すように取り組んできました。前回よりはいい状態で臨めると思う。チームのことが一番。明日はホーム最終戦なので、勝って、ファンの方にいい思いでセレモニーを味わってもらいたい」

 規定投球回に届く6イニングを投げる予定の千賀。チームを勝利に導く好投で、クライマックスシリーズへの不安を払拭できるだろうか。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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