「采配の勝利」なぜ巨人は早めに勝負を仕掛けたか? 専門家が解く原監督の思惑

巨人・原辰徳監督【写真:荒川祐史】
巨人・原辰徳監督【写真:荒川祐史】

終わってみれば20安打12得点で快勝もヤクルトOB飯田氏が解説する勝負のポイント

■巨人 12-5 ヤクルト(26日・神宮)

 巨人は26日、神宮球場でのヤクルト戦に今季最多の20安打12得点で勝利した。先発のディプランが制球に苦しみ、1回3失点KOとなるなど劣勢の展開だったが、早めの一手で逆転勝利を収めた。野球解説者の飯田哲也氏は6回の巨人の攻撃について「原監督の思い描いた通りになった。一枚、巨人が上手でした」と振り返った。左腕・高梨の投入、代走の切り札・増田大といった勝負のカードを切った早めの一手が勝利を手繰り寄せたと解説した。

 試合が決したのは4-5と1点を追う6回だった。ヤクルトの投手は3番手の左腕・長谷川。先頭打者の岸田が四球で歩くと、三塁ベンチから増田大が出てきた。想定よりも早めの投入のように思えたが飯田氏はその瞬間、「原監督は追いつければ勝てると思っているのではないでしょうか」と分析した。

 序盤から投手が試合を作れず、ミスも重なり、試合の流れは両軍を行き来していた。勝負は終盤にもつれるような展開にも思えたが、原監督は勝負に出た。ここで増田大はきっちりと二盗を決めた。続く、吉川尚はバントはせずに強行策。二ゴロで走者は三塁へ。1死三塁となり、途中出場の重信が初球の甘い高めの変化球にバットを合わせて、左翼へ同点適時打。流れるように得点が入った。巨人はさらにウィーラーの適時打などで2点を加え、リードを広げた。

「吉川(尚)くんはアウトにはなりましたが、しっかりと引っ張る打撃ができるからこその強行でした。同点じゃつまらない、そこから逆転、一気に行ってしまえ、というイメージが原監督にはできていたでしょう。最悪、進塁打でOKの場面。(増田大、重信ら)選手たちが思い通りに動いてくれたと思います」

 原監督の思惑通りとなった。継投も1点ビハインドの5回途中からここまで防御率0.00の左腕・高梨を投入し、次の1点を防いでいた。高梨が粘りの投球を見せると、中川、大竹とつなぎ、相手の打線を断ち切った。

 飯田氏の予測通り、6回に同点に追いつくと、そこからもう追いつかれることはなく、リードを広げ続けた。終わってみれば20安打12得点の圧勝だった。「ヤクルトの中継ぎを考えれば、勝算があったのだと思います。ベンチの考え、思惑通りに選手が動いていた。監督の采配の勝利だったと思います」とチームとしての強さを感じ取っていた。

(Full-Count編集部)

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