異国の地でセットアッパーに 荒波を乗り越えて輝く「ハーバード大卒右腕」
加入1年目で輝き放った楽天ハーマン
世界屈指の名門大学で学位を取得しながらメジャーの舞台を経験し、大手術を乗り越えてチャンスをつかんだ不屈の右腕。楽天のハーマン投手のキャリアは、まさに波乱万丈だ。ハーバード大学出身のインテリ投手として入団時から注目を集めていたが、単なる話題性だけにとどまらない存在だったことは、今季のピッチングによって証明済みだろう。
ハーマンは2005年にインディアンスに入団し、5年後にメジャーデビューを果たす。この年はMLBで40試合に登板してセーブも1つ記録し、防御率は4.03。その実力が最高峰の舞台でも通用することを示した。翌年も40試合に登板して防御率は5.11ながら、4勝0敗。続く2012年には登板数は15試合に減ったものの、防御率が2.33と良化し、MLBの舞台でも着実に成長の跡を見せつつあった。
ところが、2013年、30歳にしてトミー・ジョン手術を受けてからは長く苦しい闘いを強いられることに。翌年にインディアンスを自由契約となり、マイナー球団を渡り歩く。2016年にようやくフィリーズで術後初のMLB昇格。14試合で1勝2敗、防御率8.40と以前のような成績こそ残せなかったが、大手術からの復活を印象付けるシーズンとした。
そしてその年のオフ、そんなハーマンに対して、楽天が白羽の矢を立てる。安部井寛チーム統括本部本部長は「数年前から追い続けていた投手ですが、一時期怪我で投げられなくなりました。ここ2年しっかりと回復しており、以前よりスピードが増し、真っ直ぐに魅力のある投手です」と語る。ハーマン自身も、かねてより日本には興味があったと言い、こうして異色の経歴を持つ右腕は、海を渡る機会をつかむことになった。