ヤンキースは田中獲得に巨額資金を投入か?

ヤンキースは補強費の上限を撤廃?

 ヤンキースのオーナーであるハル・スタインブレーナー氏はすでに来季チーム強化において、MLBが設定した年間予算1億8900万ドル(約189億円)という贅沢税支払いのラインを超えない方針を打ち出していたが、ここにきて楽天の田中将大投手ら更なる補強のために補強費の上限を撤廃する可能性が浮上した。ニューヨーク・ポスト紙が報じ、全米で話題になっている。

「我々ヤンキース(の強化費)は来季贅沢税のかからない1億8900万ドル以下か、2億ドルを大幅に越えるか、どちらかしかないんだ。もしも今後の数年間1億8900万ドル以下を目指してかなわなかったとしたら、もしくは1億9200万ドルでわずかに目標に届かなかったとしたら、我々はあまりに愚かすぎる」

 ある球団幹部はそう話して、強化費大幅増額の可能性を示唆したという。

まだ正式に発表されていないが、オリオールズからFAになっていたブライアン・ロバーツ二塁手と、レッドソックスから同じくFAになっていたマット・ソーントン投手の獲得費を含めると、ヤンキースの来季強化費はすでに2億900万ドル(約209億円)となっている。

 もしも、禁止薬物疑惑でリーグから211試合出場停止処分を命じられたアレックス・ロドリゲス三塁手の異議申し立てが却下され、来季年俸分の2750万ドル(約27億5000万円)が帳消しとなれば、来季予算は1億8150万ドル(約181億5000万円)に収まり、贅沢税の対象にはならない。そうなれば今後3年間で計1億ドルにも上るというペナルティを支払わずに済む計算となる。

 しかし、Aロッドの年俸支払いを回避した場合でも、この先つぎ込める強化費は850万ドル(約8億5000万円)。この余剰金だけでチームの懸案事項となっている先発投手、リリーフ投手、Aロッドの代役となる三塁手という3ポイントを、ハイレベルなタレントで補うのは極めて難しい。ただ、それを実現できなければ、プレーオフ出場を逃した今季の屈辱を再び味わう羽目になりかねない。

 記事では、ヤ軍が先発候補として獲得を目指している田中については新ポスティング制度によって入札金額が2000万ドル(約20億円)に抑えられる影響で、田中への条件が最低でも年俸が2000万ドル(約20億円)に高騰するだろうと予想。田中獲得にこだわるだけでも、贅沢税の支払いを回避することは難しい。そのような状況を見れば、勝利が義務づけられた名門が更なる補強に向けて、強化費増という苦渋の選択を下したとしても理解できる。

 すでに大型補強でストーブリーグの主役となっているヤ軍は覇権奪回のために、財布のひもを再び緩めるのだろうか。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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