まさかのコールド負け 選抜出場絶望となった強豪校が目指す道

強豪・日大三が秋季大会初戦でまさかの7回コールド負け

 泣きながら、球場を出ていく選手がいた。満員の観衆、多くの報道陣が詰めかけた神宮第2球場。10月12日、春の選抜甲子園の出場をかけた東京都秋季大会1回戦。夏2回、春1回の全国優勝経験のある日大三高が、敗れた。ただの負けではない。本大会1回戦、相手はこちらも甲子園優勝経験のある早稲田実業とはいえ、3-10の7回コールド負けという辛い現実。ベンチ裏のロッカーでのミーティングでは小倉全由監督が試合に対して厳しい言葉を選手に投げかけていた。

 初回、いきなり4点を失った。だが、力のある学校だ。1点ずつ返していけば、十分に逆転できる可能性はあった。ビッグイニングを1度でも作りさえすれば、一気にひっくり返すこともできる。

 小倉監督は選手たちに焦った姿などを一切見せず、経験から逆転できると信じ、慌てずに1点ずつ取っていくことを指示した。回が深くなっていく中でも「(今年の夏決勝で0-8から9回に逆転勝利した石川県の)星稜は何点取ったんだ?」と語りかけ、最後まで勝利の可能性があることを信じ込ませていた。

 しかし、選手のプレーには焦りの色が表れた。1回裏に2点をすぐに返したまでは良かったが、リリーフした投手が2回にまた4点を失い、2-8となった。「何とか打たないといけない、と思って力みがあった」(小倉監督)とバッターはフライを打ち上げたり、難しい球に手を出した。

 5回には先頭打者が左中間二塁打で出塁したが、次の打者のファーストライナーでランナーが飛び出し、ダブルプレーに。

 3-10の7回。1点取れなければコールド負けという場面。1アウト1、2塁から2番打者がライトへ大きな当たりを放った。二塁打コースだった。

 2塁ランナーは本塁をつくはずだったが、コーチャーの「とまれ」の指示もあり、三本間に止まってしまった。3塁に戻ろうとしたが、1塁ランナーが一気にホームを目がけて走っており、もう3塁まで来ていた。

 誰もがコールド(7回以降は7点差)をひとまず免れる1点が入ったと思ったに違いない。小倉監督が「あの回は5、6点と入る流れだった」と話すように、一気にビッグイニングにつなげられるチャンスだった。だが、結果は三本間に挟まれた走者がタッチアウト。1点も入らないというまさかの走塁ミス。最後の打者も倒れ、試合は終わった。

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