生ける伝説ミゲル・カブレラ 2年連続の三冠王は可能か?

打率、打点は独走しているが…

 さて、肝心のタイトル争いだが、カブレラは今季も開幕から打率、打点の両部門で独走している。この2つのタイトルは、ほぼ確実と言えるだろう。実は、1900年以降の近代野球で三冠王に輝いた打者は延べ13人いるが、その翌年に2冠すら獲得できた選手はいない。すでに史上初の快挙を成し遂げることは確実なわけだが、どうせなら3冠王を見たいというのが、ファンの本音に違いない。

 手中に収められない可能性があるとすれば、本塁打のタイトル。ライバルは、今季大ブレークを果たしたオリオールズのクリス・デービスだ。こちらは常にカブレラが追う展開となっており、差が埋まっては離れるという状態を繰り返している。

 ただ、カブレラに有利な点があるとすれば、それはタイガースがメジャー最強打線だということだ。今季は3番カブレラ、4番フィルダー、5番ビクター・マルティネスでクリーンアップを形成しており、1番オースティン・ジャクソン、2番トリー・ハンターも気の抜けない打者だ。1、2番でチャンスを作り、カブレラに打順が回れば、敬遠を選択することは危険行為となる。フィルダー、マルティネスに打たれて大量失点となる可能性があるからだ。勝負さえしてもらえれば、カブレラは結果を残すだけに、逆転での本塁打王が見えてくる。

 昨季はワールドシリーズでスイープをくらい(1勝もできずに敗れ)、ジャイアンツに世界一を持って行かれた。3月のWBCでは、優勝候補のベネズエラ代表でまさかの1次ラウンド敗退という結果もあっただけに、今年のシーズンに賭けるカブレラの思いは強い。その執念が結実するか否か。メジャー史上最高打者誕生の瞬間に世界中のファンが注目している。

【了】

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