お買い得外国人・ルナが勝ち取ったジャパニーズ・ドリームの顛末
予期せぬ怪我と早期帰国の相関関係
その誰もが認める有能なプレーヤーに対し、中日球団の打った一手は早かった。5月中から、ルナ側と話し合いをはじめ、2014年からの2年契約を早くも結んだ。外国人は最初の1年契約で使えなければ見切られることが多い。ただ、安い年俸の選手は、活躍すると大型契約を勝ち取るケースもある。
来季以降の活躍を確信した中日は、他球団との競合になる前に、総額400万ドル(約3億9600万円)での2年契約(2016年シーズンは球団側に選択権のある契約)を結んだ。ルナにしてみれば、日本で夢の大型契約を実現した形だった。
ところが、である。そのお買い得であるはずのルナはシーズン途中で帰国してしまった。なぜか。
外国人選手と複数年契約を球団側が結ばない理由のひとつとして、「甘え」というものがある。複数年契約は1年目に活躍しなくても翌年以降のプレーが保障されているため、選手の心に余裕が生じ、結果として好成績を残さない例が多々あるのだ。
一方、単年契約ならば、来季の契約を勝ち取ろうと必死にプレーする。ルナもその一人だったが、早い段階で再契約、それも3年後までの契約を結んだことで、ひとつの目標は達成されてしまった。そのため、今季中の復帰を潔くあきらめることができた可能性は否定できない。
事実、負傷箇所は治療しながらプレーすることも可能だったが、ルナにとってみれば無理をする必要はなったのだろう。チームは多数の借金を抱え、リーグ優勝は絶望的。体を張ってまで、チームの勝利に貢献するというモチベーションが湧かず、まずは自分の将来のために、けがを治すことが先決だと考えたのかもしれない。
要するに、予期せぬけがと早期帰国は、早い段階での再契約と決して無関係ではないのだ。結果から見れば、今回はお買い得外国人と言われたルナ自身が一番得をしたのではないだろうか。
【了】