巨人のリーグVを支えた陰のヒーローとは?
相手の戦意を喪失させた男
そしてもう一人、相手の戦意を喪失させた男がいる。スコット・マシソンだ。リーグ最強のセットアッパー山口鉄也、守護神・西村健太朗とともに盤石なリリーフ陣を形成。7回以降、この3人が出てくると、ほぼ巨人の勝利が決まったようなものだった。
巨人2年目、カナダ出身の160キロ右腕は驚異の防御率0点台。昨年は不安定だったコントロールが改善され、その剛速球で打者の内角を突き、同じ軌道で投じるスライダーとフォークでバッターをのけぞらせた。直球も、簡単には打たれない。酷暑となる日本の夏も物ともせず、8月以降も球速が上がり、150キロ後半の直球をどんどん投げ込んだ。強いチームは接戦に強いのが常だが、このマシソンが危険の芽を摘み取り、相手に流れを渡さなかったことが巨人の勝負強さを演出した。その存在がなければ、西村も40セーブまで到達しなかったかもしれない。
マシソンはMLBのフィリーズ出身の28歳。3度のひじの手術を経て、活躍の場を求めて来日した。明るく、真面目な性格で日本の野球にとけ込んだことが、日本での活躍につながった。地方遠征では広島の原爆ドーム等の観光スポットを巡り、ファンに目撃されている。日本の文化をこよなく愛するこの外国人選手は、巨人にとってまさに大当たりだった。
2009年にはマーク・クルーンがストッパーで活躍したが、制球難が目立った。球界関係者が「マシソンはクルーンとスピードも変わらない。コントロールが良い点をみると、クルーンよりも上」と分析するように、マシソンは日本球界で話題になった剛腕助っ人よりも評価を高めつつある。
このことからも分かるように、巨人独走の裏には長野、マシソン2選手の支えがあったのだ。次なる目標は2年連続となる日本一。この2人のヒーローが変わらず調子を維持すれば、今後の戦いでも巨人は優位に立てるに違いない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count