守護神を任された上原浩治の驚異的な活躍
リベラを例に出させるほどの絶対的な存在に
レッドソックスが8日の地区シリーズ第4戦でレイズを破り、リーグ優勝決定シリーズ進出を決めた。上原浩治は8回1死一塁から登板し、2三振を奪う完璧な投球でセーブを記録。試合を締め、キャッチャーのデビッド・ロスに抱きつく写真は米国の各紙でも大きく扱われた。
ただ、ニューヨークの地元紙ニューズ・デーは、上原が前日にサヨナラ本塁打を浴びて敗戦投手となったことに着目。「上原は今シーズンのベストクローザーだが、マリアノ・リベラではない」と題して、今季限りで引退した史上最高の守護神の偉大さに改めてスポットを当てると同時に、上原を擁護している。
記事では、ジョエル・ハンラハンとアンドリュー・ベイリーが離脱後に守護神を任された上原の驚異的な活躍を紹介。サヨナラ本塁打を浴びるまでは、最近37試合で1失点しか許さず、レイズに対しては10試合で10回2/3を無失点に抑えていたことについて触れている。今年に限っては、リベラだけでなく、どんなクローザーよりも上原の方が良かったという見解だ。
それでも、レッドソックスの守護神は7日の夜にサヨナラ本塁打を浴びた。伏兵のホセ・ロバトンに外角低めへのスプリットをセンターにはじき返され、敵地トロピカーナ・フィールドの名物である水槽にたたき込まれる衝撃的な一発だった。多くのメディアは、このことを「上原も人間だ」と伝えた。
同紙は、リベラも完璧ではなかったとしている。ポストシーズンでは5つのセーブ失敗があり、その中には2001年のワールドシリーズ第7戦で世界一を逃した痛恨の一戦もあった。だがそれでも、リベラに対する絶対的な信頼は揺るがなかった。それほどの存在だった。
レギュラーシーズンで歴代最多の652セーブを記録したリベラは、ポストシーズンでも史上最多の42セーブ。重圧がかかる場面であるほど、ピッチングに凄みを増すクローザーはまさに伝説的な存在だったわけだ。
だからこそ、リベラと上原を比べるべきではないというのが、同紙の結論だ。史上最高のクローザーが残してきた足跡は途方もないもの。レギュラーシーズンやポストシーズンで抑えとして活躍する投手は、リベラの“影”を背負い、ピッチングを続けることになる。ただ、「我々はリベラのことを思い出す度に、彼に続く投手に対して申し訳ない気持ちになる」と記している。上原がセーブ機会で失敗したとしても、あまりにも偉大すぎる右腕を引き合いに出し、失望するべきではないということだ。
いずれにせよ、今季の上原が、リベラを例に出されるほど絶対的な存在となっていることは確かだ。世界一に輝き、その背中に少しでも近付くことは出来るだろろうか。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count