オフシーズンの主役は「タナカ」こと田中将大
最高のスプリットを持っている
さらに、過去にヤンキースが獲得した投手は、井川慶を筆頭に伊良部秀輝、前田勝宏らが結果を残せなかった。田中が24勝無敗、防御率1・27の成績を残し、昨年8月から負けていないことは印象的だが、日本人が活躍できるか保証は出来ない。中4日のローテーションへの適応も課題になる。
一方で、今季のア・リーグではダルビッシュ有、黒田博樹、岩隈久志、上原浩治と4人の日本人投手が大活躍したという事実もある。日本のシーズンや3月のWBCでの投球を見てきたスカウトの意見は、米国でも素晴らしい投手になるというものだという。ボール自体はダルビッシュほどではないが、ストライクを投げられ、黒田に近いタイプとされている。
「メジャーではローテション3、4番手の実力だが、プレーしているうちに黒田のようにいい投手になる。なぜなら、彼は制球が良く、投球術を知っている」という関係者のコメントも紹介している。
また、スカウトは田中のスプリットが、これまで見てきた中で最高のスプリットだと指摘。直球、スプリットと合わせ、通用するボールが3つあるのは、成功の条件だと評価する。今季、コツコツと当てにくる打者が多い日本で投げ、212イニングで183奪三振を奪っただけに、アメリカではさらに増えるだろうとしている。
ヤンキースはアンディ・ペティットが引退し、フィル・ヒューズは移籍する可能性が高い。先発ローテーションでは、今季は低調に終わったCC・サバシアの復活が、まずは必要不可欠だ。FAとなった黒田との再契約も望まれるが、来年39歳となる右腕が日本でキャリアを終えたがっていることは周知の事実だ。
これらの理由からチームとしてはもう1人、頼りになる先発投手が欲しい。しかも、田中を獲得できれば、将来はイバン・ノバ、デビッド・フェルプス、マイケル・ピネダ、マヌエル・バヌエロスらと力強いローテーションを形成できる。
同紙は、ポスティング・システムが現在は失効中で、MLBとNPBの間で交渉が続けられていることにも触れている。どのような形で決着が付くのか、その行方も注視する必要がある。ただ、「タナカ」の注目度が全米中で急上昇していることは間違いない。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count