高橋尚成の今 苦悩の1年を経験して導き出した答えとは?
どん底を見たが故にできること
38歳という年齢を考えれば、常に引き際を意識するのは当然だ。実際に、高橋自身も開幕前は「今年ダメだったら引退」と考えていたという。マイナーの今季最終戦を終えた後は「(今後については)何も分からない。家族や代理人と相談して決めたい」とも話している。ただ、その後にどんな答えを出したかは、これまでの言葉を聞けば想像がつくだろう。シーズン終了から約2週間がたった9月20日、「今後!」と題したブログでファンにこう報告している。
「ようやく自分自身の今後への気持ちが固まりました。幾つかある選択肢の中から来年も自分らしく投げる事を決めました。今は、マウンド上で良いバッター、強いチームに向かって投げている自分自身の姿をイメージしています。そんな事をイメージしていると来年の為に今、何が出来るかを考えているとまたワクワクしてきています。まだ来年、何処のチームで投げるか分からないけど自分らしく投げれるように今から準備をしたいと思います」
そうはっきりと現役続行の意思を明かしたのだ。それは「悔いだけは残したくない」という思いから出した答えだった。
投げる場所にはこだわらない。メジャーだけでなく、日本復帰も選択肢の1つになるという。「アメリカで必要ないから日本で必要とされるとも限らない」と話すが、横浜DeNAがリストアップしているという報道が早くも出ている。
とにかく自分を必要としてくれるところで――。
この思いがぶれることはない。と同時に、今季の経験が必ず生きると信じている。
「すごく今後につながるんじゃないかなと思っている。マイナーの選手がこんな気持ちでやっているんだというのも分かったし。意外と色んなところで色んなものを見るのもいいものだなと思った。上だけじゃなくて、下の野球を見るのもいいものだなと…」
どん底を見た。だからこそ出来ることがある。高橋は前だけを見ている。舞台はどこだっていい。燃え尽きるまで、マウンドに上がり続ける。
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count