スコット・ボラスに補強を焚きつけられる、名門・ヤンキース
ロビンソン・カノを引き留めることが難しくなっている
これでヤンキースが本気になるだろうか。米紙ニューヨーク・ポストは敏腕代理人であるスコット・ボラス氏が「ヤンキースはFAの選手に(本気度を)証明するべきだ」と発言したと報じた。現在、ヤンキースは所属する大物選手の動向や“ぜいたく税”の縛りがあり、今オフ、積極的な補強に動くか不透明。来季、優勝争いに加われるかも微妙な状況だ。そんな名門球団のケツをたたくような代理人のコメントを同紙は伝えている。
ボラス氏は、代理人を務める韓国人投手の尹錫珉(起亜タイガース)を売り込むため、ヤンキースタジアムのあるニューヨークのブロンクスを訪問。ここで同紙の取材に応えた。「長い年月の中で、フリーエージェントの選手たちに対して、ヤンキースが来季も優勝争いに加わる気があるということを証明しなければいけないのは初めてだろう。これは今までのニューヨークでは決して疑問とならなかったことだ」。常に勝ち続けることを義務づけられてきたチームが、その本気度を問われている。
ヤンキースは来週にも、球団のミーティングを開くとされている。今オフの補強方針などを確認する会議だ。
長い間、オフにFAとなる選手は、ヤンキースが次のシーズンも優勝争いに加わるということを確信していた。だからこそ、この名門に加入することは魅力的だったのだ。
2000年にFAで加入したマイク・ムッシーナを手始めに、ヤンキースは常にFAでトップクラスにランクされる選手を獲得してきた。ジェイソン・ジアンビー、ゲーリー・シェフィールド、マーク・テシェーラ、A・J・バーネット、CC・サバシアらが大型契約で加入し、チームに勝つチャンスを与えてきた。さらに、バーニー・ウィリアムズ、マリアノ・リベラ、デレク・ジーターといった生え抜きの選手は、FAとなっても再契約を交わし、残留した。
しかしながら、来週のミーティングにおいて、FAとなるロビンソン・カノを確実に引き留める策を見出すことは困難な状況となっている。ヤンキースはこのスター選手と再契約したいと考えているが、10年3億1000万ドル(約303億4000万円)というとんでもない要求には応えられないからだ。
ヤンキースに敗北の二文字は許されない。選手の総年俸を“ぜいたく税”を支払わずに済む1億8900万ドル(約185億円)以内に収めるという大きな目標はあるが、優勝のチャンスが消えてしまうとなれば、ハル・スタインブレナー会長の判断にすべてが委ねられることになる。
今オフには、メジャー挑戦が確実な楽天の田中将大の獲得に本腰を入れるとされている。さらに、FAとなるブレーブスのブライアン・マッキャンもリストに載っている。FAでは、他にレッズの外野手である秋信守も注目選手だが、負傷がちなジーターの脚の状態を考えれば、タイガースのジョニー・ペラルタやレッドソックスのステファン・ドリューも獲得候補となるはずだ。
ボラス氏が売り込んだ尹錫珉を初め、ヤンキースはFAの選手に対してどれだけ獲得意思があるのか。憧れのピンストライプに身を包みたいと思っている選手は数多く存在するが、本気度を早く示さなければ、補強も難しい方向に進んでしまうことになるだろう。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count