「最高の対決」となったワールドシリーズ データから見る頂上決戦の見どころ
先発投手陣の充実が光るカージナルス
一方のカージナルスは先発投手陣の充実ぶりが光る。ポストシーズンでの先発防御率2・57はタイガースに次ぐ2位。レギュラーシーズン19勝9敗のアダム・ウェインライトは、ここまで3試合で2勝1敗、防御率1・57と安定感は抜群だ。
さらに、22歳のニュースターも誕生した。ルーキー右腕のマイケル・ワカは無傷の3連勝。この間の防御率は、なんと0・43だ。ドジャースとのリーグ優勝決定シリーズでは、球界を代表する左腕のクレイトン・カーショーに第2戦、第6戦と2試合続けて投げ勝ち、2連勝。いずれも無失点でシリーズMVPを獲得した。この「2本柱」が2勝ずつ白星を挙げれば、世界一に輝くことになる。
実は、カージナルスもブルペンは安定している。ポストシーズンでの救援防御率はレッドソックスに次ぐ1・80。相手の数字が驚異的なだけで、十分に立派な成績だ。抑えのトレバー・ローゼンタールは160キロの速球を誇り、ここまで自責点0。7イニングで3安打しか浴びておらず、上原同様に試合を危なげなく終わらせる力を持っている。
バランスのいい、力の拮抗した2チームの対戦。勢いではレッドソックスが上回るが、カージナルスには伝統的な勝負強さがある。2011年には、2勝3敗で迎えた第6戦でレンジャーズ相手に敗退まで「あと1球」の場面を2度も作られながら、驚異の粘りで切り抜けて逆転サヨナラ勝ち。そのままシリーズを制して11度目の世界一に輝いた。レッドソックスの爆発力か、カージナルスの粘り強さか。どちらも投手陣を攻略するのは困難なだけに、打線の特徴が勝敗の鍵を握りそうだ。
上原が世界一の胴上げ投手に輝く瞬間は訪れるのか。2009年の松井秀喜以来となる日本人のワールドシリーズMVPは誕生するのか。日本のファンも目が離せないシリーズとなる。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count