【2013年ドラフト会議】楽天、広島の陰で大成功を収めたオリックス

理想的なドラフトとなったオリックス

 2013年ドラフト会議では高校ナンバーワン投手、松井裕樹(桐光学園)の交渉権を楽天、大学ナンバーワン右腕・大瀬良大地投手の交渉権を広島がそれぞれ獲得した。いずれも重複指名の末に取れた逸材だ。彼らの1位指名が成功した両球団は当然、今回のドラフトで大成功を収めたと言えるだろう。だが、この2球団と同じくらい理想的なドラフトとなった球団がある。オリックスだ。

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 1位指名では190センチ右腕・吉田一将(JR東日本)の一本釣りに成功。ドラフト前はスカウトの間で「間違いなく、抽選になる」と評されるなど、松井、大瀬良とともに競争率が高いと見られていた存在だった。だが、吉田の指名が予想されていた中日や楽天が最終的に松井を1位指名したことで、初志貫徹のオリックスは苦も無く吉田の交渉権を手にすることができた。

「アマチュアの中で最も完成度の高い投手を、それも単独で指名することができて信じられない」

 森脇浩司監督の言葉からも予想外の展開だったことが伝わってくる。

 さらにオリックスは2位指名で、富士重工の東明大貴投手の獲得に成功。巨人や日本ハムが外れ1位の際に、投手から捕手や野手に方向転換したこともあり、1巡目の12人で消える可能性があった社会人投手をゲットすることができた。ポテンシャルが高く、即戦力として活躍できる投手を2人も獲得できたのだから、これ以上のない結果と言える。

 オリックスの投手陣では今季、エース・金子千尋が好成績を収めた。楽天・田中将大の陰に隠れてしまっているが、15勝8敗、防御率2・01、奪三振200と文句のつけようのない結果で、223回1/3も投げている。

 だが、金子の次に続くのは西勇輝の9勝で、先発の2番手以降が手薄な状況。つまり、来季3位以内を目指すチームにとって投手陣の強化は不可欠であり、手始めにドラフトで即戦力の2投手を獲得できたのは大きな意味を持つ。この新人2投手が、パ屈指の本格派右腕の金子からエース道をどこまで吸収できるのかも、球団の将来を左右する重要なテーマだろう。

 さらにオリックスは3巡目でも、西武が上位候補としてリストアップしていた埼玉・花咲徳栄の高校生捕手・若月健矢、4巡目には福島・聖光学院の園部聡と将来性豊かな選手を指名。若手を積極的に起用する森脇監督のカラーに合う補強となった。

 11年連続でクジで敗れ、泣かされ続けてきたオリックスだが、今回のドラフトは来季のAクラス入りへ大きな弾みとなったに違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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