多くのドラマを生んだ甲子園から15年 松坂世代の現在地

貢献度の高かった選手は?

【1】村田修一(巨人) 【1980年12月28日生まれ。東福岡―日大―横浜】

 今年、最も活躍した松坂世代と言えるだろう。序盤は打率が低迷し、交流戦で9番を務めた試合もあったが、終盤からは巨人の4番に座った。8月には月間46安打をマークし、クロマティらの記録を抜いてセ・リーグ新記録を樹立。守備での貢献も大きく、投手からの信頼も厚い。シーズンを通じて打率3割1分6厘、25本塁打でリーグ優勝に貢献。MVP級の活躍を残した。

【2】木村昇吾(広島)【1980年4月16日生まれ。尽誠学園―愛知学院大―横浜】

 意外かもしれないが、彼の貢献度も大きかった。プロ生活11年の中で最も重宝された年でもある。昨年までは主に守備固めのポジションを担い、控え野手としてベンチを温めることが多かった。今年も変わらぬ立ち位置で開幕したが、レギュラー選手の堂林翔太が8月20日の中日戦で左手にデッドボールを受けて骨折すると、堅実な守備で知られる木村がサードのスタメンに抜擢されるようになった。規定打席にこそ到達しなかったが、主に相手が右投手の際に先発し、しぶとい打撃で打率3割2分5厘をマーク。好守備でもチームを盛り立てた。Bクラスにいたチームも9月から加速し、球団史上初のクライマックスシリーズ(CS)に進出。CSで2位阪神も撃破している。

【3】木佐貫洋(日本ハム)【1980年5月17日生まれ。鹿児島・川内高―亜細亜大学―巨人―オリックス】、杉内俊哉(巨人)【1980年10月30日生まれ。鹿児島実業―三菱重工長崎―ダイエー、ソフトバンク】

 15年前に鹿児島県内でしのぎを削った2人を3位タイとした。木佐貫はオリックスから日本ハムに大型トレードで移籍し、今季開幕ローテーションに入った。2ケタ勝利まではいかなかったが、24試合に先発し、9勝8敗、完投も「2」をマーク。巨人でプレーした2008年以来、勝利数の貯金ができたシーズンだった。5月20日には札幌ドームでの巨人との交流戦で、杉内と98年の鹿児島県大会決勝戦以来の投げ合いを演じ、7回1失点で勝利。15年前に決勝で敗れた宿敵に投げ勝った。来季もローテとして期待がかかる。

 一方、杉内は昨年痛めた左肩の影響で本来の投球とはいかなかったが、シーズン11勝を挙げて巨人の優勝に貢献した。好不調が交互に訪れており、村田ほど貢献度が高かったとは言えないが、シーズン11勝6敗に加え、CS、日本シリーズにも先発している。経験も豊富で、最も実績のある投手と言える。

 彼ら4選手は松坂世代の中で光り輝いた部類だが、今年は怪我や手術をした選手やリハビリから復帰を果たした選手も多かった。

 松坂大輔(メッツ)や和田毅(オリオールズ)、藤川球児(カブス)、久保裕也(巨人)、館山昌平(ヤクルト)は、これまで負担をかけてきた肩や肘にメスを入れた選手たちだ。万全な状態になるまではもう少し時間がかかる。ただ、今季終盤で松坂が復調してきたように、彼らは実績も力も十分にあり、来季にかかる期待は大きい。

 反面、現役引退や戦力外となった選手もいた。小池正晃、森本稀哲は横浜DeNAから戦力外となり、小池は引退を決意、森本は移籍先を探している。

 一概に松坂世代と言っても、その野球人生には様々な軌跡がある。志半ばでプロの世界を去った選手も多い。ただ、野球界を席巻した彼らにもう一花、ふた花を咲かせてもらいたいと願うファンは多いはずだ。野球を愛する人たちにとって、同じ時代を生きたプロ野球選手、とりわけ「松坂世代」のような強烈な才能たちは希望の光なのだから。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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