フィルダー移籍の衝撃 大型トレードがもたらすものは
今回のトレードが持つ意味
オフにも大型トレードがあった。マーリンズが、ホセ・レイエス、マーク・バーリー、ジョシュ・ジョンソンら5選手をブルージェイズに放出し、若手7選手を獲得した。マーリンズにとっては1億4650万ドル(約146億5000万円)の年俸を削減することが目的で、ブルージェイズは地区制覇を狙えるほどの大型補強を敢行したつもりだった。マーリンズの年俸削減は後々、効果が表れるものかも知れないが、少なくてもブルージェイズの補強は大失敗。今季は激戦の東地区を盛り上げることすらできず、シーズン序盤から下位に沈んだ。
資金、現在のチーム構成、そして未来。球団の強化を目指すGMがどこまで考え、トレードを成立させられるかは、その手腕にかかっている。大物選手が絡む案件ならば、なおさらだ。
さて、今回のトレードはどのような意味を持つのか。結論から言うと、大成功に終わる可能性が高いだろう。ともにチームの主力中の主力でありながら、これほど理にかない、両球団が「Win-Win」となる可能性の高い選手交換は珍しい。
まず、レンジャーズの補強ポイントは一塁手だった。しかも強打の、である。今季はシーズンを通して働いた長距離砲がエイドリアン・ベルトレだけという打線の貧弱さがネックとなり、プレーオフ進出を逃したからだ。今オフ、この条件にあてはまるFA選手はおらず、タイガースからのトレード打診に即答したようだ。結果として、まだ29歳と若く、メジャー屈指の強打者という理想的な選手を獲得できたと言える。
左打者の本塁打が出やすく、メジャー屈指の「ヒッターズパーク」として知られるレンジャーズ・ボールパーク・イン・アーリントンに行けば、フィルダーの能力は存分に発揮される。しかも、代わりに出したキンズラーは現地の報道でも放出候補に挙がっていた選手。球団は、二塁に有望株のジュリクソン・プロファーを固定したいと考えており、内野に穴は空かず、むしろ余剰戦力を整理した印象だ。