フィルダー移籍の衝撃 大型トレードがもたらすものは
ダルビッシュにとってもプラス材料
逆に、タイガースはオマール・インファンテがFAとなり、二塁が空いていた。さらに、今季106打点を挙げながら25本塁打に終わっていたフィルダーが抜けても、ミゲル・カブレラ、ビクター・マルティネスら長打力のある打線に大きな影響は出ない。むしろ、盗塁35個でリーグ断トツの最下位に終わっただけに、スピードのあるキンズラーの加入は打線への新たな「味付け」になるはずだ。脚に不安を抱えるカブレラを三塁から一塁に戻せることもプラス材料だ。
そして何よりも、資金の工面が出来たことがタイガースには大きい。フィルダーは2020年まで7年契約を残しており、タイガースは3000万ドル(約30億円)を負担するものの、残りの総額1億3800万ドル(約138億円)はレンジャーズが引き継ぐ。キンズラーが残す4年6200万ドル(約62億円)の契約を差し引いても7600万ドル(約76億円)が浮いた計算となり、チーム強化に充てられる。
現地では、このお金は今季のサイ・ヤング賞投手マックス・シャーザーとの契約更新に回される可能性が高いと報道されている。レンジャーズへのトレードも噂されていた右腕の残留が、別の選手の大型トレードで濃厚となったのは皮肉な話だが、選手も含めて、誰にとってもプラスばかりのトレードだということは間違いない。
ちなみに、今季は援護不足に苦しんだダルビッシュ有にとってもプラス材料が多い。心強いチームメートが増えたということに加えて、実はフィルダーは対戦相手として苦手だったからだ。9打数3安打1本塁打3打点で、わずか13度の対戦ながら4つも四球を与えている。プレーオフに進出すれば、中地区の強豪は避けて通れない相手となるだけに、悲願の世界一に向けても視界は良好となる。
タイガースのデーブ・ドブロウスキーとレンジャーズのジョン・ダニエルズは、名GMとしての地位を確立している。2人が成立させた今回のトレードが来季、どのような結果を生み出すのか。そして、今オフの市場にどのような影響を与えるのか。メジャー屈指のスラッガーであるフィルダーが与える衝撃は、この先さらに大きくなるだろう。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count